マンジャロ・オゼンピック・リベルサス・ウゴービ・ゼップバウンド——名前は違っても、有効成分は2種類に集約されます。成分・適応・保険・痩せる量の違いを、直接比較試験を含む臨床研究をもとに見ていきます。「結局どれを選べばいいのか」を、独立ガイドが解説します。
このページの位置づけ:GLP-1ダイエット薬5剤を横断的に比較するページです。各薬剤の詳細はマンジャロ完全ガイド・リベルサス完全ガイド・オゼンピック完全ガイドに、全体のしくみはGLP-1ダイエット完全ガイドにまとめています。本ページは「成分・適応・効果の違い」と「選び方」に絞って解説します。
マンジャロ、オゼンピック、リベルサス、ウゴービ、ゼップバウンド——GLP-1ダイエットを調べると、似たような名前が次々に出てきて混乱しがちです。しかし結論から言うと、この5つの製品の有効成分は、たった2種類に集約されます。セマグルチドとチルゼパチドです。製品名が違うのは、メーカー・剤形(注射か飲み薬か)・承認された病名(糖尿病か肥満症か)が異なるためで、薬としての中身は重複しています。まずこの「成分の地図」を持つことが、5剤を理解する最短ルートです。
GLP-1ダイエット薬5剤は、セマグルチド系(オゼンピック・リベルサス・ウゴービ)とチルゼパチド系(マンジャロ・ゼップバウンド)の2グループに分かれます。肥満を対象とした直接比較試験SURMOUNT-5(72週)では、チルゼパチドが平均20.2%、セマグルチドが13.7%の体重減少で、チルゼパチドが上回りました(PMID: 40353578)。ただし「どれが自分に合うか」は、効果だけでなく注射か内服か・適応外か保険適用か・費用で変わります。各薬剤の詳細はマンジャロ・リベルサスの各ガイドをご覧ください。
出典:Aronne LJ, et al. 2025(PMID: 40353578)/ClinicJapan編集部調べ5つの製品名がどの成分・どの適応に対応するかを、一覧で整理します。この表を頭に入れておくと、クリニックの説明やネット上の情報がぐっと読みやすくなります。ポイントは、「同じ成分でも、糖尿病薬として売られているか、肥満症薬として売られているか」で名前と保険の扱いが変わるという点です。
| 製品名 | 有効成分 | 剤形 | 日本での承認 | ダイエット目的 |
|---|---|---|---|---|
| マンジャロ | チルゼパチド | 週1回 注射 | 2型糖尿病 | 適応外(自費) |
| ゼップバウンド | チルゼパチド(同一) | 週1回 注射 | 肥満症 | 条件付きで保険 |
| オゼンピック | セマグルチド | 週1回 注射 | 2型糖尿病 | 適応外(自費) |
| リベルサス | セマグルチド(同一) | 1日1回 飲み薬 | 2型糖尿病 | 適応外(自費) |
| ウゴービ | セマグルチド(同一) | 週1回 注射 | 肥満症 | 条件付きで保険 |
このように、チルゼパチド=マンジャロ/ゼップバウンド、セマグルチド=オゼンピック/リベルサス/ウゴービという対応になっています。マンジャロとゼップバウンドは中身が同じ薬で、糖尿病用か肥満症用かという「適応の違い」だけ。オゼンピックとウゴービも同様の関係です。リベルサスだけは、セマグルチドを飲み薬にした製剤という点で剤形が異なります。成分ごとの作用の違いはGLP-1完全ガイドで詳しく解説しています。
もっとも知りたい「どれが一番痩せるのか」については、長らく試験ごとの数値を間接的に比べるしかありませんでした。しかし2025年、チルゼパチドとセマグルチドを同じ試験内で直接比較したSURMOUNT-5試験の結果が報告され、状況が変わりました。糖尿病のない肥満の成人751名を対象に、72週間投与した結果、チルゼパチド群は平均20.2%、セマグルチド群は13.7%の体重減少で、チルゼパチドが統計的に有意に上回りました(PMID: 40353578)。これは「同じ土俵での比較」であるため、信頼性が高いデータです。
| 試験 | 成分(製品名) | 体重減少(平均) |
|---|---|---|
| SURMOUNT-5(直接比較・72週) | チルゼパチド(マンジャロ/ゼップバウンド) | 約20.2% |
| セマグルチド(オゼンピック/ウゴービ) | 約13.7% | |
| SURMOUNT-1(チルゼパチド単独・72週) | チルゼパチド 15mg | 約22.5% |
| STEP-1(セマグルチド単独・68週) | セマグルチド 2.4mg | 約14.9% |
参考までに、各成分を単独で評価した試験では、チルゼパチドのSURMOUNT-1(72週)で15mg群が平均22.5%(PMID: 35658024)、セマグルチドのSTEP-1(68週)で2.4mg群が平均14.9%(PMID: 33567185)の減量が報告されています。試験デザインや対象が異なるため単純比較はできませんが、直接比較・間接比較のいずれでも、チルゼパチドのほうが減量幅が大きい傾向が一貫しています。効果の出方の詳細はマンジャロの効果ページで解説しています。
注意:これらは「肥満症・過体重」を対象にした試験の数値です。日本人の2型糖尿病患者を対象としたSURPASS J-monoでは、チルゼパチドの減量幅はより小さく報告されています(PMID: 39891527)。対象集団・もとの体格・併用する生活指導によって実際の減り方は大きく変わるため、「海外の最大値がそのまま自分に当てはまる」とは考えないことが大切です。
注射薬として人気が二分するのが、マンジャロ(チルゼパチド)とオゼンピック(セマグルチド)です。最大の違いは作用するホルモンの数です。オゼンピックはGLP-1という1つのホルモン受容体に作用しますが、マンジャロはGLP-1に加えてGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)にも作用するデュアル作用を持ちます。この2経路への作用が、より大きな減量幅につながると考えられています。両剤の詳細はマンジャロ完全ガイドとオゼンピック完全ガイドをご覧ください。
| マンジャロ | オゼンピック | |
|---|---|---|
| 成分 | チルゼパチド | セマグルチド |
| 作用 | GLP-1+GIP(デュアル) | GLP-1単独 |
| 減量幅(試験) | 大きい傾向 | マンジャロより控えめ |
| 投与 | 週1回 注射 | 週1回 注射 |
| 日本の適応 | 2型糖尿病(痩身は適応外) | 2型糖尿病(痩身は適応外) |
興味深いことに、SURMOUNT-5試験では消化器系の副作用による中止は、むしろセマグルチド群(5.6%)のほうがチルゼパチド群(2.7%)より多かったと報告されています(PMID: 40353578)。「効果が大きい薬=副作用も必ず強い」とは限らない一例です。ただし両剤とも吐き気・下痢などの消化器症状が中心であることは共通しており、副作用の詳細はマンジャロの副作用ページを参照してください。
この2剤の違いだけをさらに詳しく知りたい方は、オゼンピックとマンジャロの違いで、作用機序・効果・副作用を掘り下げて解説しています。
「注射は苦手」という方にとって重要なのが、飲み薬という選択肢です。現在、GLP-1ダイエット薬で経口薬として使えるのはリベルサス(経口セマグルチド)のみです。成分はオゼンピック・ウゴービと同じセマグルチドですが、毎日1回、空腹時に水で服用するという使い方が異なります。注射への抵抗感が強い方の入り口として選ばれることが多い薬です。
ただし、飲み薬には注意点もあります。経口セマグルチドは吸収率が低く、起床後すぐ・空腹時にコップ約半分(120mL以下)の水で服用し、その後30分は飲食しないといった服用ルールを守る必要があります。これを守れないと効果が十分に出ません。また、臨床試験の数値を見るかぎり、減量幅は注射薬のほうが大きい傾向があります。「利便性(飲み薬)」と「効果の大きさ(注射)」のどちらを優先するかが選択のポイントになります。リベルサスの飲み方の詳細はリベルサスの効果ページで解説しています。
飲み薬が向く人:注射に強い抵抗がある/まずは手軽に試したい/服用ルールを守れる。
注射が向く人:減量幅を重視する/毎日の服用より週1回が楽/飲み忘れが心配。
ここまでのマンジャロ・オゼンピック・リベルサスは、いずれも糖尿病薬を痩身目的に転用する「適応外(自費)」でした。一方、ウゴービ(セマグルチド)とゼップバウンド(チルゼパチド)は、最初から「肥満症の治療薬」として承認された薬です。つまり成分は既存薬と同じでも、肥満症という病気の治療として、条件を満たせば保険診療で受けられる道があります。これは「適応外の自費処方」とは根本的に位置づけが異なります。
| ウゴービ | ゼップバウンド | |
|---|---|---|
| 成分 | セマグルチド | チルゼパチド |
| 同成分の糖尿病薬 | オゼンピック/リベルサス | マンジャロ |
| 承認 | 肥満症 | 肥満症 |
| 減量幅 | セマグルチド系 | やや大きい傾向(チルゼパチド系) |
| 保険 | 条件を満たせば適用 | 条件を満たせば適用 |
ただし、保険適用にはBMIや合併症に関する厳しい条件があり、一般にBMIが高い(例:35以上、またはBMI27以上で複数の健康障害を併存)こと、食事・運動療法を一定期間行っても改善しないこと、専門の医療機関で受けることなどが求められます。さらに処方できる施設や医師の要件も設定されており、総合病院・大学病院などが中心になります。「美容目的で少し痩せたい」というケースは基準を満たさず、結局マンジャロ等の適応外・自費処方になるのが実情です。自分が保険対象かどうかは、肥満症を扱う医療機関で相談してください。マンジャロとゼップバウンドの関係はマンジャロ完全ガイドでも整理しています。
同成分・適応違いの関係をさらに詳しく知りたい方はマンジャロとゼップバウンドの違い、保険肥満症薬どうしの直接比較はウゴービとゼップバウンドの違いで個別に解説しています。
5剤の違いを踏まえ、「自分はどれを検討すべきか」を目的別に整理します。大前提として、これらはすべて医師の診察・処方が必要な医薬品であり、自己判断での個人輸入は避けるべきです。そのうえで、考え方の軸は次の3つです。
美容・ダイエット目的で自費の適応外使用を検討する場合、費用は継続するほど積み上がります。目安として、内服のリベルサスは月8,000〜25,000円ほど、注射のオゼンピックは月15,000円前後から、マンジャロは2.5mgで月30,000円前後〜と、薬剤・用量・クリニックで幅があります(いずれも自費)。総額の考え方はマンジャロの値段ページや美容医療の費用相場で確認しておきましょう。また、全身ではなく特定の部位だけが気になる場合は、GLP-1ではなく脂肪溶解注射や脂肪吸引といった局所アプローチのほうが向いていることもあります。「全身か部分か」「注射か内服か」「自費か保険か」で選択肢が分かれるため、GLP-1完全ガイドで全体像をつかんでから決めるのがおすすめです。
5剤はいずれもGLP-1受容体に作用する薬であり、副作用のプロファイルは共通点が多いです。最も多いのは吐き気・下痢・便秘・食欲不振などの消化器症状で、多くは軽度〜中等度、増量期に出やすく、体が慣れると軽減する傾向があります。デュアル作用のチルゼパチドも、副作用の種類自体はセマグルチドと大きく変わりません。
一方で、頻度は低いものの重篤な副作用にも共通の注意が必要です。減量目的でのGLP-1受容体作動薬の使用については、急性膵炎・胃不全麻痺・腸閉塞などの消化器系の重篤な有害事象のリスクが報告されています(PMID: 37796527)。これは特定の1剤に限った話ではなく、クラス全体に当てはまる注意点です。各薬剤の危険性はマンジャロの危険性ページやリベルサスの危険性ページで詳しく解説しています。
まとめると、GLP-1ダイエット薬は「セマグルチドかチルゼパチドか」「注射か飲み薬か」「適応外(自費)か肥満症(保険)か」という3つの軸で整理できます。臨床試験ではチルゼパチド系の減量幅が大きい傾向ですが、自分にとっての最適解は、目的・体格・費用・通いやすさで変わります。安全性ガイドとカウンセリングガイドで、医師に確認すべきポイントを整理しています。
学術文献(PubMed 収載論文)
公的資料
学術文献はすべて PubMed収載論文を出典としています。
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