肩ボトックスに使われる製剤は「ボトックス」だけではありません。アラガン製・韓国製・液状タイプなど複数の選択肢があり、料金も効果も微妙に異なります。この記事では主要5製剤を比較し、あなたに合った製剤の選び方を解説します。
結論:肩ボトックスに使われる製剤は主に5種類。最大の違いは価格と承認状況です。初めての方は安全性データ豊富なアラガン製ボトックスビスタ(両肩¥40,000〜¥80,000)が安心。2回目以降でコストを抑えたいなら韓国製(ニューロノクス・コアトックス)(両肩¥15,000〜¥40,000)が現実的。繰り返し施術で効きが弱くなった場合はコアトックスまたはイノトックスへの切り替えを検討してください。
※効果には個人差があります。製剤選びは必ず医師にご相談ください。「ボトックス」は本来アラガン社の商品名ですが、一般的にはボツリヌストキシン製剤全体を指す通称として使われています。肩ボトックスに使われる主な製剤は以下の5種類で、すべてA型ボツリヌストキシンを主成分とする注射薬です。基本的な作用機序(神経と筋肉の信号伝達をブロックして僧帽筋の緊張を緩和する)はどの製剤でも同じですが、価格・承認状況・添加物などに違いがあります。
肩ボトックス完全ガイドでは施術の基礎知識を、料金相場では全体的なコスト感を解説していますので、合わせて参考にしてください。
| 製剤名 | メーカー | 国 | 日本承認 | 剤形 |
|---|---|---|---|---|
| ボトックスビスタ | アラガン社 | 米国/アイルランド | ✅ 厚労省承認 | 粉末(凍結乾燥) |
| ニューロノクス | メディトックス社 | 韓国 | ❌ 未承認 | 粉末(凍結乾燥) |
| コアトックス | メディトックス社 | 韓国 | ❌ 未承認 | 粉末(凍結乾燥) |
| リジェノックス | ヒューゲル社 | 韓国 | ❌ 未承認 | 粉末(凍結乾燥) |
| イノトックス | メディトックス社 | 韓国 | ❌ 未承認 | 液状(Ready-to-Use) |
💡 「未承認」= 危険ではない:韓国製ボトックスが日本で未承認なのは、メーカーが日本での承認申請を行っていないためです。韓国・欧州・アジア各国では正式に承認・使用されており、世界的な使用実績は豊富です。ただし、万が一の副作用時に日本の医薬品副作用被害救済制度の対象外となる点は理解しておく必要があります。
ボトックスビスタは世界で最も使用実績のあるA型ボツリヌストキシン製剤で、日本では2009年に厚生労働省の承認を取得しています。もともとは眼瞼痙攣・片側顔面痙攣の治療薬として承認され、その後2012年に「65歳未満の成人における眉間の表情皺」の適応が追加されました。肩ボトックス(僧帽筋への注射)は適応外使用ですが、同じ製剤を使用します。
| 項目 | ボトックスビスタの詳細 |
|---|---|
| 両肩の料金相場 | ¥40,000〜¥80,000 |
| 1単位あたりの目安 | ¥600〜¥1,200 |
| 効果発現 | 2〜3日で実感、2週間でピーク |
| 持続期間 | 3〜6ヶ月(平均4ヶ月) |
| 複合タンパク質 | 含む |
| 保存 | 2〜8℃冷蔵保存 |
初めて肩ボトックスを受ける方、安全性を最優先したい方にはアラガン製がおすすめです。肩ボトックスの効果を確認してから、2回目以降に韓国製への切り替えを検討するのも賢い選択です。
ニューロノクス(Neuronox)は韓国メディトックス社が製造するボツリヌストキシン製剤で、日本の美容クリニックで最も広く使われている韓国製ボトックスです。韓国国内では食品医薬品安全処(MFDS)の承認を取得しており、韓国の美容クリニックではシェアNo.1。日本では2010年頃から美容クリニックでの使用が広まりました。
コストパフォーマンスを重視し、定期的なメンテナンスを長く続けたい方に最適な選択肢です。肩ボトックスの料金相場でも、韓国製の価格帯を詳しく比較しています。
コアトックス(Coretox)はニューロノクスと同じメディトックス社が開発した次世代型のボツリヌストキシン製剤です。最大の特徴は複合タンパク質(動物性タンパク質)を除去していること。これにより、繰り返し使用しても中和抗体が産生されにくく、長期間にわたって安定した効果が期待できます。
従来のボツリヌストキシン製剤には、有効成分(ボツリヌストキシン)を安定させるために複合タンパク質が含まれています。この複合タンパク質に対して体が免疫反応を起こし、中和抗体が作られると、ボトックスの効きが弱くなる(二次無効)ことがあります。
肩ボトックスは3〜6ヶ月ごとに繰り返し施術するものなので、5回、10回と重ねていく中で抗体リスクは無視できません。コアトックスは複合タンパク質を含まないため、この問題を根本的に解決しています。
| 比較項目 | ニューロノクス | コアトックス |
|---|---|---|
| 複合タンパク質 | 含む | 含まない(フリー) |
| 抗体産生リスク | 従来レベル | 低い |
| 両肩の料金目安 | ¥15,000〜¥30,000 | ¥20,000〜¥40,000 |
| 効果の持続期間 | 3〜5ヶ月 | 3〜6ヶ月 |
| 効果発現のスピード | 2〜3日 | 2〜3日 |
すでに肩ボトックスを数回受けていて「最近効きが弱くなった気がする」という方は、コアトックスへの切り替えが有効な選択肢です。肩ボトックスの効果・持続期間で効果の変化パターンを確認しておくと、判断の参考になります。
リジェノックス(Regenox / Botulax)は韓国ヒューゲル社が製造するボツリヌストキシン製剤です。メディトックス社とは異なるメーカーで、韓国国内ではニューロノクスに次ぐシェアを持っています。日本のクリニックでも取り扱いは増えていますが、ニューロノクスやコアトックスに比べると認知度はやや低めです。
ニューロノクスが合わなかった場合の代替選択肢として、あるいはクリニックの取り扱い製剤がリジェノックスの場合に検討する、という位置づけです。製剤としての優劣はニューロノクスとほぼ同等と考えて問題ありません。
イノトックス(Innotox)はメディトックス社が開発した世界初の液状(Ready-to-Use)ボツリヌストキシン製剤です。従来の粉末製剤が施術前に生理食塩水で溶解する必要があるのに対し、イノトックスはあらかじめ液状で製造されているため、溶解のステップが不要です。
「最新の技術で最良の結果を」という方向けの選択肢です。ただし取り扱いクリニックを探す手間がかかるため、東京おすすめクリニックのリストでイノトックス対応院を事前にチェックしておくとスムーズです。
以下に5製剤の主要スペックを一覧でまとめました。肩ボトックスの製剤選びに迷ったら、この表をスクリーンショットしてカウンセリングに持参すると効率的です。
| 項目 | ボトックスビスタ | ニューロノクス | コアトックス | リジェノックス | イノトックス |
|---|---|---|---|---|---|
| メーカー | アラガン | メディトックス | メディトックス | ヒューゲル | メディトックス |
| 日本承認 | ✅ | ❌ | ❌ | ❌ | ❌ |
| 両肩 料金目安 | ¥40,000〜¥80,000 | ¥15,000〜¥30,000 | ¥20,000〜¥40,000 | ¥15,000〜¥35,000 | ¥22,000〜¥45,000 |
| 効果発現 | 2〜3日 | 2〜3日 | 2〜3日 | 2〜3日 | 2〜3日 |
| 持続期間 | 3〜6ヶ月 | 3〜5ヶ月 | 3〜6ヶ月 | 3〜5ヶ月 | 3〜6ヶ月 |
| 複合タンパク質 | 含む | 含む | なし | 含む | なし |
| 抗体リスク | 低〜中 | 低〜中 | 極低 | 低〜中 | 極低 |
| 剤形 | 粉末 | 粉末 | 粉末 | 粉末 | 液状 |
製剤の選択は「どれが一番いいか」ではなく、「自分の状況に何が合っているか」で決めるものです。以下の4タイプで判断してください。
⚠ 重要:製剤選びよりも重要なのは医師の技術です。どんなに優れた製剤でも、注射ポイントの配置と適正単位数の判断が不適切であれば期待した結果は得られません。肩ボトックスの失敗事例の多くは製剤の問題ではなく、医師の技術や単位数の設定ミスに起因しています。製剤にこだわるのは良いことですが、それ以上にクリニック選びに時間をかけてください。
肩ボトックスを年に3〜4回、数年間にわたって続ける方が増えています。ここで知っておくべきなのが「中和抗体」の問題です。
ボツリヌストキシン製剤に含まれるタンパク質に対して、体の免疫システムが「異物」と認識し抗体を作ることがあります。この抗体がボツリヌストキシンを中和してしまうと、注射しても効果が出なくなります。これを二次無効(Secondary Non-Response)と呼びます。
文献によって差がありますが、ボトックスビスタの繰り返し使用における中和抗体産生率は1〜5%程度とされています。決して高い数字ではありませんが、5年・10年と続ける場合はゼロではないリスクです。
| 抗体リスク対策 | 詳細 | 対応製剤 |
|---|---|---|
| 最小有効量の使用 | 過剰投与を避け、触診で適正量を決定 | 全製剤共通 |
| 施術間隔3ヶ月以上 | 効果が完全に切れてから再施術 | 全製剤共通 |
| 複合タンパク質フリー | 抗体産生の原因物質を排除 | コアトックス・イノトックス |
| 製剤の切り替え | 効きが悪くなったら別の製剤へ変更 | 状況に応じて判断 |
エラボトックス(咬筋)と肩ボトックス(僧帽筋)を同時に受ける方も多いですが、製剤を統一する必要はありません。たとえば「エラはコスパ重視でニューロノクス、肩は初めてなのでアラガン製」という組み合わせも可能です。
ただし、同日に2つの部位に施術する場合、合計の単位数が多くなるため、だるさや疲労感が出やすくなります。合計100単位を超える場合は、デメリット・リスクのページも確認しておきましょう。
💡 製剤の混在使用について:エラと肩で異なる製剤を使うこと自体に医学的なリスクはありません。ただし、効果の比較がしやすいように「最初は両方同じ製剤で始める」という医師のアドバイスも合理的です。効果を把握したうえで、次回から部位ごとに製剤を変えるのがベストです。
製剤の知識を持ってカウンセリングに臨むと、医師との会話の質が格段に上がります。以下の5つの質問を必ず投げかけてください。
カウンセリングガイドに上記を含む質問テンプレートを掲載していますので、印刷してカウンセリングに持参することをおすすめします。
肩ボトックスは1回で終わりではなく、年に3〜4回のメンテナンスが前提です。製剤選びは「1回の料金」だけでなく「年間の総コスト」で比較するのが現実的。以下のシミュレーションは両肩60単位×年3回(初年度)で算出しています。
| 製剤 | 1回あたり目安 | 年3回の年間コスト | 3年間の累計 |
|---|---|---|---|
| ボトックスビスタ | ¥55,000 | ¥165,000 | ¥445,000 ※ |
| ニューロノクス | ¥22,000 | ¥66,000 | ¥178,000 ※ |
| コアトックス | ¥30,000 | ¥90,000 | ¥243,000 ※ |
| リジェノックス | ¥25,000 | ¥75,000 | ¥202,000 ※ |
| イノトックス | ¥33,000 | ¥99,000 | ¥267,000 ※ |
※ 3年目以降は持続期間が延びるため年2回に減る想定で算出。実際のコストはクリニック・単位数により異なります。
アラガン製とニューロノクスでは3年間で約27万円の差。この差をどう捉えるかは個人の価値観次第ですが、アラガン製の安全性と承認ステータスに年間10万円の価値を感じるかどうかがひとつの判断基準です。肩ボトックスの料金相場や支払いガイドも合わせてご参照ください。