医療脱毛レーザーの種類
アレキ・ダイオード・ヤグの違いと選び方

医療脱毛で使われるレーザーには、大きく分けてアレキサンドライト・ダイオード・ヤグ(Nd:YAG)の3種類があります。それぞれ「波長」が異なり、得意な毛質・肌質・到達する深さが変わります。色白で太い毛の人、色黒・日焼け肌の人、産毛が気になる人——自分に合う波長はどれか、中立の視点で整理しました。

755nmアレキ:太い毛・色白肌
808nm前後ダイオード:バランス型
1064nmヤグ:色黒肌・根深い毛
医療脱毛レーザーの種類 — アレキサンドライト・ダイオード・ヤグの違いを示すイメージ
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結論 — 「どの波長か」で得意な毛・肌が変わる

このページの位置づけ:医療脱毛の機械・比較ガイド:蓄熱式と熱破壊式の違い / 毛周期とメカニズム / 回数の目安 / 痛みと対策 / 医療と美容の違い

医療脱毛のクリニックを比べていると、「アレキサンドライト」「ダイオード」「ヤグ(Nd:YAG)」といったレーザーの名前を目にします。これらはレーザーの「波長(nm)」の違いを表していて、波長が変わると、得意な毛質・肌質や、皮膚のどの深さまで熱が届くかが変わります。

先に要点をまとめると、3つの波長に絶対的な優劣はありません。色白で太い毛にはアレキサンドライト、幅広い肌質にバランスよく対応するダイオード、色黒・日焼け肌や根深い毛にはヤグといった具合に、それぞれ得意な場面が違います。本記事では、ここでは特定の機種を推すことはせず、3波長の違いと、毛質・肌質に合った選び方をまとめます。

医療脱毛のレーザーは主に3種類。アレキサンドライト(755nm)はメラニンへの吸収が高く、色白の肌で太く濃い毛に反応しやすい定番波長です。ダイオード(808〜940nm)は吸収と深達のバランスがよく、産毛から太い毛まで幅広い肌質に対応しやすい波長で、蓄熱式の機種に多く採用されています。ヤグ(Nd:YAG・1064nm)は波長が長く皮膚の深くまで届き、メラニンへの吸収が低めのため、色黒肌・日焼け肌でも照射しやすく、ヒゲやVIOなど根深い毛にも向くとされます。どの波長が最適かは、肌の色・毛の太さ・部位によって変わります。多くのクリニックは複数波長を搭載・使い分けており、自分の毛質と肌質に合った波長を選べるかが重要です。

出典:ClinicJapan編集部調べ(2026年5月)/参考:Anderson RR, et al. 1983(PMID: 6836297)・Ibrahimi OA, et al. 2011(PMID: 21276162)・日本皮膚科学会脱毛ガイドライン
iClinicJapanは厚生労働省の医療広告ガイドラインに沿って記事を作成しています。 詳細はこちら →

医療機器・適応外使用に関する重要な情報開示

本記事で解説する施術には、厚生労働省「医療広告ガイドライン(令和6年3月改訂)」に基づき、以下4項目の情報提供が必要です。

  1. 使用機器について:医療脱毛で使用される主要なレーザー機器の薬機法承認状況は機種により異なります。ジェントルレーズプロ(米国Syneron Candela社/2016年承認)、ジェントルマックスプロ(同/2018年承認)など主要機種は厚生労働省の薬機法承認を取得しています。一方、メディオスター・ソプラノアイス・ライトシェアデュエット・ベクタス・スプレンダーXなど、日本の薬機法承認を取得していない機種を使用するクリニックも存在し、その場合は医師の個人輸入により調達された機器が自由診療で使用されています。
  2. 適応外使用について:承認機種であっても、承認時の使用目的(長期減毛)から外れる用途や、承認外の出力設定での使用は適応外使用(オフラベル使用)に該当する場合があります。
  3. 諸外国における承認状況:主要機種は米国FDA、欧州CEマーク、韓国MFDS等で医療機器として認可されています。「永久減毛」の表現は米国FDAの基準(最終脱毛から3ヶ月後の段階で長期にわたり毛量が安定的に減少した状態)に基づくもので、完全な無毛状態を保証するものではありません。
  4. 救済制度:万一重篤な副作用(火傷・色素沈着・硬毛化・毛嚢炎等)が発生した場合、未承認機器の使用または医師の判断による施術については、日本の医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。

施術を検討される方は、使用機器の承認状況・出力設定・補償体制について、事前に医師へ必ず確認してください。

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医療脱毛シリーズ 15/19

なぜ3種類の波長があるのか — 選択的光熱融解の考え方

レーザー脱毛は、毛の黒い色素「メラニン」にレーザーの光を吸収させ、その熱で発毛組織の働きを失わせる仕組みです。これは皮膚科レーザー医療の基礎理論である「選択的光熱融解(selective photothermolysis)」に基づいています。標的(メラニン)に吸収されやすい波長を選ぶことで、周囲の組織を傷つけずに毛だけに作用させるという考え方です(Anderson RR, Parrish JA. 1983(PMID: 6836297))。

ここで鍵になるのが波長です。波長が短いほどメラニンへの吸収が高く、皮膚の浅い部分に作用しやすい。逆に波長が長いほどメラニンへの吸収は弱まり、皮膚の深くまで届きやすい。この性質の違いを使い分けるために、医療脱毛では複数の波長が用意されているのです。波長によって毛質・肌質との相性が変わることは、レーザー脱毛のレビューでも整理されています(Ibrahimi OA, et al. 2011(PMID: 21276162))。下の図で、3波長が皮膚のどの深さまで届くかを見てみましょう。

アレキサンドライト755nm・ダイオード808nm・ヤグ1064nmの波長別の皮膚到達深度を示した断面の模式図
波長が長いほど皮膚の深くまで届く — 3波長の到達深度の模式図(CLINIC JAPAN作成)

アレキサンドライトレーザー(755nm)— 定番の高吸収波長

アレキサンドライトは波長755nmで、医療脱毛で最も長く使われてきた定番の波長です。メラニンへの吸収が3波長の中で高く、色白の肌に生えた太く濃い毛にしっかり反応します。施術後の毛の抜け落ちを実感しやすく、効果の手応えを感じやすいのが特徴です。代表的にはジェントルレーズ系などの機種で採用されています。

また、メラニンへの吸収が高い性質を活かし、薄いシミ・くすみなど美肌効果が語られることもあります。一方で、メラニンに強く反応するということは、日焼けした肌や色黒の肌では肌のメラニンにも反応しやすく、火傷や色素沈着のリスクに配慮が必要になるということでもあります。色白で太い毛、という組み合わせに最も力を発揮する波長です。痛みはやや強めに感じられる傾向があり、太い毛が密な部位では麻酔を併用することもあります(痛みと対策)。

ダイオードレーザー(808〜940nm)— バランス型の万能波長

ダイオードは808〜940nmの波長で、メラニンへの吸収と皮膚への深達のバランスがよいのが特徴です。アレキより波長が長いぶん深くまで届きやすく、かつメラニンへの吸収も一定程度保たれるため、産毛から太い毛まで、また幅広い肌質に対応しやすい万能型として位置づけられます。

ダイオードは、低出力を連続照射する蓄熱式(SHR方式)の機種に多く採用されています(蓄熱式と熱破壊式の違いはこちらのページで解説)。蓄熱式と組み合わせることで痛みが穏やかになりやすく、メラニン依存度が下がるため、これまで効きにくかった産毛や、やや色のついた肌にもアプローチしやすくなります。メディオスター系・ライトシェア系などが代表的です。「肌質を選ばず幅広く対応したい」というニーズに応えやすい波長といえます。

ヤグ(Nd:YAG・1064nm)レーザー — 深く届く長波長

ヤグ(Nd:YAG)は波長1064nmで、3波長の中で最も長く、皮膚の深くまで届くのが最大の特徴です。波長が長いぶんメラニンへの吸収は弱まり、その結果肌の表面のメラニンに反応しにくく、色黒肌や日焼け肌でも安全に照射しやすいとされます。実際、Nd:YAGレーザーはあらゆる肌タイプの脱毛に使用できると報告されています(Tanzi EL, Alster TS. 2004(PMID: 14692920))。

深く届く性質から、根が深く太い毛、たとえば男性のヒゲやVIOなどにも向いており、硬く根深い毛に悩む方に選ばれることがあります。肌の色が濃い人を対象とした研究でも、波長や照射方式の選択が安全性と効果の両立に関わることが示されています(Dorgham NA, Dorgham DA. 2020(PMID: 31587390))。一方で、メラニンへの吸収が弱いぶん、産毛のような細くメラニンの少ない毛には反応しにくいことがあり、また深く届くことから痛みは強めに感じられる傾向があります。色黒・日焼け肌の方、根深い毛に悩む方にとっては心強い選択肢です(日焼け肌の可否)。

3波長を一覧で比較

3つの波長の特徴を表で整理します。下表はおおよその傾向で、実際の効果や適応は機種・出力設定や個人の毛質・肌質によって変わります。

波長アレキサンドライト
755nm
ダイオード
808〜940nm
ヤグ(Nd:YAG)
1064nm
メラニン吸収高い中程度低い
到達する深さ浅め中程度深い
得意な毛色白の太く濃い毛産毛〜太い毛まで幅広く根深い・太い毛
向いている肌色白の肌幅広い肌質色黒・日焼け肌も対応
痛みやや強め穏やか(蓄熱式に多い)強め
代表的な機種ジェントルレーズ系メディオスター系・ライトシェア系ジェントルヤグ系

このように、3波長は「メラニン吸収の高さ」と「到達の深さ」がちょうど逆の関係になっています。だからこそ、自分の毛質・肌質に合った波長を選ぶこと、あるいは複数波長を使い分けられるクリニックを選ぶことが大切になります。次の図で、肌色・毛質別にどの波長が向いているかを早見表で確認しましょう。

肌色と毛質ごとに適したレーザー波長を示した適合マトリクス図(アレキ・ダイオード・ヤグ)
肌色・毛質別に向いている波長の早見マトリクス(一般的な傾向・CLINIC JAPAN作成)

毛質・肌質別 — おすすめの波長の考え方

波長選びは、最終的にはご自身の肌の色と毛の性質で決まります。代表的なケースごとに目安を整理します。いずれも一般的な傾向であり、最終判断は医師の診察に基づいてください。

① 色白の肌 × 太く濃い毛 → アレキサンドライトが力を発揮

メラニン吸収の高いアレキサンドライトは、色白の肌に生えた太い毛に最も反応しやすい組み合わせです。抜けの実感を早く得たい方にも向きます。

② 幅広い肌質・産毛も気になる → ダイオードが対応しやすい

肌質を選ばず幅広く対応したい、産毛も含めてケアしたいという場合は、バランス型のダイオード(とくに蓄熱式)が選択肢になります。痛みが穏やかな点もメリットです。

③ 色黒・日焼け肌、根深い毛 → ヤグ(Nd:YAG)が安心

肌の色が濃い、日焼けしやすい、あるいは男性のヒゲやVIOのように根深い毛に悩む場合は、深く届きメラニン吸収の穏やかなヤグが向きます。肌の色が濃い人ではメラニンへの吸収を抑えられる長波長が安全性の面でも選ばれます(敏感肌・アトピーの場合)。

波長と照射方式(蓄熱式・熱破壊式)の関係

波長の話とよく混同されるのが、「蓄熱式・熱破壊式」という照射方式です。これは別の軸の話で、波長が「どの毛・肌に作用しやすいか」を決めるのに対し、方式は「どう熱を届けるか」を決めます。たとえば同じダイオード波長でも、蓄熱式で使えば痛みが穏やかに、熱破壊式で使えば太い毛への即効性が高くなる、といった具合です。両方を理解すると機種選びの基準が明確になります。詳しくは蓄熱式と熱破壊式の違いをあわせてご覧ください。

「○○波長だから必ず効く・必ず安全」という表現には注意:波長はあくまで相性の傾向で、効果や安全性は出力設定・肌質・毛質・施術者の技術によって変わります。必要回数や効果には個人差があり、回数や結果を保証するような表現は実態と合わない場合があります。どの波長でも、毛周期に合わせた複数回の施術が必要な点は共通です(毛周期とメカニズム)。

波長で機種を選ぶときのチェックポイント

波長を軸にクリニックを選ぶときは、次の点を確認すると後悔が少なくなります。

  • 自分の肌色・毛質を医師に診てもらう:日焼け・色黒・産毛は波長選びに直結
  • 複数波長を扱えるか確認:単一波長か、肌・毛に応じて使い分けられるか
  • 方式(蓄熱式/熱破壊式)もあわせて確認:波長×方式で仕上がりが変わる
  • 痛み対策を確認:ヤグやアレキは痛みが強めになりやすい
  • 回数と総額で比較:波長名より実質的な通いやすさで判断(料金相場
  • レーザーの波長は、医療脱毛の効果と安全性を支える重要な要素ですが、「どの波長が最強か」を競うものではありません。大切なのは、自分の肌と毛に合った波長を、信頼できる医師のもとで選べるかです。気になる波長があれば、自分の肌色・毛質との相性をカウンセリングで率直に相談してみてください。

    本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療に代わるものではありません。どの波長が自分に向くかは、肌色・毛質を診たうえでの医師の判断が確実です。気になる点はカウンセリングで確かめてみてください。

    よくある質問

    Q. アレキ・ダイオード・ヤグ、どれが一番効果ありますか?
    一番はなく、肌色と毛質で得意分野が違います。色白で太い毛はアレキサンドライト、幅広い肌質や産毛はダイオード、色黒・日焼け肌や根深い毛はヤグが向く傾向です。複数波長を使い分けられるクリニックなら、波長の優劣を気にする必要は小さくなります。
    Q. 色黒・日焼け肌でも受けられる波長はどれ?
    波長が長くメラニン吸収が弱いヤグ(Nd:YAG・1064nm)が照射しやすく、あらゆる肌タイプに使用できると報告されています。ただし可否は必ず医師の診察で判断してください。
    Q. 産毛にはどの波長が向いていますか?
    バランス型のダイオード(とくに蓄熱式)がメラニンの少ない産毛にも対応しやすいと考えられています。ただし産毛は元々回数がかかりやすい毛です。
    Q. 波長と「蓄熱式・熱破壊式」は何が違うの?
    波長は「どの毛・肌に作用しやすいか」、方式は「どう熱を届けるか」を決める別の軸です。同じ波長でも方式によって痛みや即効性が変わります。両方を理解すると機種選びの精度が上がります。
    Q. 1台で複数波長を出せる機種はありますか?
    複数波長を切り替えられる機種や、波長の異なる機種を複数そろえるクリニックがあります。肌色・毛質・部位に応じて波長を使い分けられると、対応の幅が広がります。

    参考文献・出典

    学術文献(PubMed 収載論文)

    1. Anderson RR, Parrish JA. “Selective photothermolysis: precise microsurgery by selective absorption of pulsed radiation.” Science. 1983. PMID: 6836297
    2. Ibrahimi OA, Avram MM, Hanke CW, Kilmer SL, Anderson RR. “Laser hair removal.” Dermatol Ther. 2011. PMID: 21276162
    3. Tanzi EL, Alster TS. “Long-pulsed 1064-nm Nd:YAG laser-assisted hair removal in all skin types.” Dermatol Surg. 2004. PMID: 14692920
    4. Dorgham NA, Dorgham DA. “Lasers for reduction of unwanted hair in skin of colour: a systematic review and meta-analysis.” J Eur Acad Dermatol Venereol. 2020. PMID: 31587390
    5. Haedersdal M, Wulf HC. “Evidence-based review of hair removal using lasers and light sources.” J Eur Acad Dermatol Venereol. 2006. PMID: 16405602

    公的資料・ガイドライン

    学術文献はすべて PubMed(米国国立医学図書館 NLM 運営の学術論文データベース)収載論文を出典としています。本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療の代わりとなるものではありません。

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