「同じピコレーザーなのに、なぜクリニックによって呼び方も値段もこんなに違うのか」と感じたことはありませんか。ピコレーザー、ピコトーニング、ピコスポット、ピコフラクショナル...似たような名前が並んで混同されがちですが、実はこれらは『機械の名前』と『その機械の使い方』で別物です。4機種・3モードの違いを整理します。
『ピコレーザー』は機械の総称、『ピコトーニング/ピコスポット/ピコフラクショナル』は照射モードです。主要4機種(PicoSure・PicoWay・Discovery PICO・enLighten III)はそれぞれ波長・パルス幅・得意分野が異なり、肝斑・くすみ目的ならPicoSure、濃いシミ・タトゥーならPicoWay、複数波長対応はDiscovery PICOが向きます。同じ機械でもモードを変えると用途も経過も全く変わるため、まず機械とモードの違いを整理することが選び方の出発点です。
※ClinicJapan編集部が機器メーカー公表データ・医療文献に基づき構成(2026年4月時点)💡 機種選びだけが結果を決めるわけではありません
機種ごとに得意分野はありますが、最終的な結果を左右するのは『機種×医師の出力設定の経験×シミ診断の正確性』の3要素です。同じ最新機種でも医師の経験により結果が変わるため、機種比較表だけで判断するのではなく、シミ診断の正確性と医師の症例数も合わせて検討するほうが納得感があります。本記事の機種データはメーカー公表値および医療文献に基づきますが、各クリニックの最新導入機種・出力設定はカウンセリング時にご確認ください。
カウンセリングで「ピコトーニング5回コース」「ピコスポット1個¥5,000」「ピコフラクショナル」など、似たような名前が並ぶと混同しがちです。ここを整理しないと、機種選びどころか自分が何の施術を受けているかさえ分からなくなるため、まず用語を整理しておきます。
| 用語 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| ピコレーザー | 機械の総称(ピコ秒パルスを出す医療レーザー) | PicoSure・PicoWay・Discovery PICO等 |
| ピコトーニング | 低出力で肌全体に均一照射するモード | 肝斑・くすみ・トーンアップ用 |
| ピコスポット | 濃いシミに高出力でピンポイント照射するモード | 老人性色素斑・そばかす用 |
| ピコフラクショナル | レーザーを点状に照射するモード | 毛穴・ニキビ跡・小ジワ用 |
つまり、「ピコレーザー」は機械、「ピコトーニング」「ピコスポット」「ピコフラクショナル」はその機械の3つの使い方です。同じ機械から出るレーザーでも、モードを変えると出力・照射範囲・用途が全く変わるのがピコレーザーの特徴です。各モードの効果や経過の違いはピコレーザーの効果と経過で詳しく解説しています。
3つのモードはアプローチがまったく違います。「自分の悩みにどのモードが合うのか」が分かれば、機種選びもしやすくなります。
肌全体に均一なエネルギーで照射するモードです。低出力なので痛みも少なく、ダウンタイムもほぼありません。「ランチタイム施術」と呼ばれるほど、施術後すぐに普段の生活に戻れる手軽さが特徴です。
| 項目 | ピコトーニングの特徴 |
|---|---|
| 出力 | 低出力(肌全体への均一照射) |
| 主な対象 | 肝斑・くすみ・トーンアップ・全顔の薄いシミ |
| 必要回数 | 5〜10回(2週間〜1ヶ月間隔) |
| ダウンタイム | ほぼなし(数時間の軽い赤み) |
| 痛み | ほとんどなし |
| 1回料金 | ¥10,000〜¥30,000 |
濃いシミ1個1個に対して高出力でピンポイント照射するモードです。施術直後にシミが黒く濃くなり(炭化反応)、5〜10日でかさぶたとして剥離する経過を辿ります。「点で攻める」治療のため、境界がはっきりした老人性色素斑には特に効果を発揮します。
| 項目 | ピコスポットの特徴 |
|---|---|
| 出力 | 高出力(シミ1個ずつのピンポイント) |
| 主な対象 | 老人性色素斑・そばかす・濃いシミ |
| 必要回数 | 1〜3回(2〜3ヶ月間隔) |
| ダウンタイム | 5〜10日(かさぶた・テープ保護) |
| 痛み | 輪ゴムで弾かれた程度 |
| 1個料金 | ¥3,000〜¥10,000 |
レーザーを点状(ドット状)に照射して微細な穴を皮膚に開けるモードです。皮膚の自己修復反応を引き出してコラーゲン再生を促すアプローチで、シミではなく毛穴・ニキビ跡・小ジワが対象になります。
| 項目 | ピコフラクショナルの特徴 |
|---|---|
| 出力 | 中〜高出力(点状照射) |
| 主な対象 | 毛穴・ニキビ跡・小ジワ・肌質改善 |
| 必要回数 | 3〜5回(1ヶ月間隔) |
| ダウンタイム | 1〜7日(赤み・点状の凹み) |
| 痛み | 麻酔クリーム推奨 |
| 1回料金 | ¥30,000〜¥60,000 |
料金詳細はピコレーザーの料金相場、ダウンタイム比較はピコレーザーのダウンタイムでも解説しています。
日本国内の美容クリニックで導入されている主要なピコレーザー機種は4つです。それぞれメーカー・波長・パルス幅・得意分野が異なります。
| 機種 | メーカー | 波長 | パルス幅 | 得意分野 |
|---|---|---|---|---|
| PicoSure® | サイノシュア(米) | 755nm | 750ピコ秒 | 肝斑・くすみ・ピコフラクショナル |
| PicoSure Pro® | サイノシュア(米) | 532/755/1064nm | 750ピコ秒 | 3波長対応・複数シミ |
| PicoWay® | キャンデラ(米) | 532/785/1064nm | 300〜400ピコ秒 | 濃いシミ・タトゥー除去 |
| Discovery PICO® | クォンタシステム(伊) | 532/694/785/1064nm | 370ピコ秒 | 高出力・複数シミタイプ |
| enLighten III® | キュテラ(米) | 532/670/1064nm | 660〜750ピコ秒 | 肝斑・3波長対応 |
世界初のピコ秒レーザーとして2012年にFDA承認を受けた、ピコレーザー市場のパイオニア機種です。755nmの波長は黒色素・茶褐色色素に強く吸収されるため、肝斑・くすみ・薄いシミに対して効果を発揮します。
2020年以降は後継機のPicoSure Pro®(532/755/1064nmの3波長対応)も登場し、複数のシミタイプに1台で対応できるようになりました。日本国内でも導入院が多いため、肝斑・くすみが主な悩みなら出会う機会が多い機種です。
パルス幅が300〜400ピコ秒と業界最短クラスで、メラニン色素を物理的に粉砕する力が強い機種です。濃い老人性色素斑やタトゥー除去に特に強い性能を発揮します。3波長(532/785/1064nm)対応のため、表皮の浅いシミから真皮の深いシミまで幅広くカバーできます。
「とにかく濃いシミを早く消したい」というニーズに対しては、この機種を導入しているクリニックを絞り込んで選ぶのがおすすめです。タトゥー除去ニーズにも対応します。
イタリアのクォンタシステム社が開発した4波長対応(532/694/785/1064nm)の高出力機種です。694nmの波長は赤色色素にも作用するため、複数色のタトゥーや赤あざにも対応できる点が特徴です。出力範囲が広いため、軽症から重症までシミの状態に応じた柔軟な施術が可能です。
米国キュテラ社の3波長(532/670/1064nm)対応機種です。670nmという独自の波長を持ち、肝斑・くすみへの作用が強いとされています。日本ではPicoSureと並んで肝斑治療を強みとするクリニックで導入されることが多い機種です。
機種比較表を見ても、「結局どれが自分に合うのか」と迷いがちです。シミの種類から逆算する選び方が、いちばんわかりやすい順序ではないでしょうか。
| 主な悩み | 第一推奨 | 第二推奨 | 選ぶポイント |
|---|---|---|---|
| 肝斑・くすみ | PicoSure | enLighten III | 755nm/670nmが表皮層に強い |
| 濃い老人性色素斑 | PicoWay | Discovery PICO | 短パルス幅で破砕力高い |
| そばかす多数 | Discovery PICO | PicoWay | 高出力・取り放題に対応 |
| 毛穴・ニキビ跡 | PicoSure | enLighten III | ピコフラクショナルが強み |
| ADM(真皮層) | PicoWay | Discovery PICO | 1064nmが深部に到達 |
| タトゥー除去 | PicoWay | Discovery PICO | 多色対応・破砕力高い |
ただし実際には、機種を選んでクリニックを決めるのではなく、クリニックを選ぶ過程で機種が決まるケースが大半です。自宅から通える範囲のクリニックがどの機種を導入しているか調べ、自分の悩みに合う機種を扱う院を選ぶ。むしろこの順序のほうが現実的に動きやすくなります。
⚠ 「最新機種」だけを判断基準にしない
「最新機種=最高の結果」とは限りません。機種以上に重要視されるのが、医師の出力設定の経験とシミ診断の正確性です。導入から年数が経過したPicoSureであっても、肝斑診断と出力設定が適切に行われていれば、満足度につながりやすい傾向があるとされています。機種比較は判断材料の一つに過ぎず、医師の症例数・カウンセリングの質と総合的に見て選ぶのが安心です。クリニックの選び方でも、機種以外のチェックポイントを解説しています。
ピコレーザーが万能というわけではありません。シミの種類・予算・ダウンタイム許容度によっては、他のレーザー治療が向いていることもあります。
| 治療法 | パルス幅 | 得意なシミ | 料金目安 | ダウンタイム |
|---|---|---|---|---|
| ピコレーザー | ピコ秒 | 肝斑・くすみ・濃いシミ全般 | 1回¥10,000〜¥80,000 | 0〜10日 |
| QスイッチYAG | ナノ秒 | 濃いシミ・タトゥー | 1個¥3,000〜¥8,000 | 1〜2週間 |
| IPL光治療 | マイクロ秒 | 薄いシミ・くすみ全般 | 1回¥10,000〜¥25,000 | ほぼなし |
| CO2フラクショナル | マイクロ秒 | 深いニキビ跡・瘢痕 | 1回¥30,000〜¥80,000 | 7〜10日 |
QスイッチYAGはピコレーザーの前世代にあたる機種で、現在も多くのクリニックで使用されています。パルス幅がナノ秒(ピコ秒の1000倍)と長いため、メラニン破砕の効率はピコレーザーより低いものの、価格が安く実績も長い利点があります。
濃い老人性色素斑やタトゥー除去なら、QスイッチYAGでも十分な効果が期待できます。ただし肝斑にはQスイッチYAGは禁忌(悪化リスク)とされているため、肝斑のある方はピコレーザー(ピコトーニング)が選択肢になります。
IPL(Intense Pulsed Light)はレーザーではなく『光』を使った治療です。複数の波長を含む光を肌全体に照射する点では似ていますが、出力はピコトーニングより低いため、薄いシミ・くすみ・赤みのトーンアップが主な対象です。ダウンタイムがほぼなく、価格も安いため、軽い悩みなら入門編として向いています。
濃いシミや肝斑にはIPLでは効果が弱いため、ピコレーザーのほうが向きます。シミのレーザー治療完全ガイドで各治療の比較を詳しく解説しています。
両方とも『点状照射でコラーゲン再生』のアプローチですが、パルス幅と熱ダメージが大きく違います。CO2フラクショナルは熱ダメージが大きく深いダメージを与えられるため、深いニキビ跡・瘢痕に向きます。一方、ピコフラクショナルは熱ダメージが少なくダウンタイムが短いため、浅い毛穴・小ジワに向きます。ダーマペン完全ガイドと並んで、ニキビ跡治療では有力な選択肢の一つです。
カウンセリングで機種について質問するとき、聞き方が漠然としていると曖昧な答えで終わることがあります。具体的な質問リストを用意しておくと、医師の知識レベルや誠実さも判断材料になります。
医師がこれらの質問に明確に答えられるかどうかは、技術への理解度を測る指標になります。「最新機種だから大丈夫です」で済ませてしまうクリニックには注意が必要です。クリニックの選び方でカウンセリング時のチェックポイントを解説しています。
5つの記事を通して何度かお伝えしてきましたが、ピコレーザーの結果を左右するのはシミ診断の正確性 >>> 医師の出力設定 >>> 機種の順番です。最新機種を使っていても、医師がシミの種類を誤診すれば結果は出ません。
逆に言うと、カウンセリング当日に確かめておきたいのは、機種スペックよりもむしろこの3点です。「私のシミの種類はなんですか?」「どの出力で何回照射する予定ですか?」「経過写真は毎回撮っていただけますか?」。この3つに医師が落ち着いて答えてくれるクリニックであれば、導入機種が新型か旧型かにかかわらず、満足度は高くなる傾向があるとされています。
機種比較で迷ったときは、まずピコレーザーのシミへの効果でご自身のシミ種類を絞り込み、効果と経過で必要回数を理解し、料金相場で予算を整え、ダウンタイムでスケジュール感を持つ。そうやって全体像を把握した上で、機種が選択肢の一つとして見えてきます。