毛穴・小じわ・ハリ不足など、ヒアルロン酸では改善しにくい肌質そのものに働きかける施術として、いま日本の美容皮膚科で取り扱いが広がっているのがリジュラン(サーモンDNA注射)です。仕組み・効果・料金・水光注射との違い・リスクを、韓国発の臨床データと国内の運用実態から解説します。
2017年頃まで、日本の美容皮膚科のメニュー表で「リジュラン」という文字を見ることはほとんどありませんでした。それが2020年代に入ると状況は一変。いまでは水光注射と並ぶ肌質改善の代表的な注入治療として、多くのクリニックが標準メニューに採用しています。サーモン由来のポリヌクレオチド(PN)を有効成分とする、ヒアルロン酸とはまったく系統の異なる注入治療——その正体と評価を、韓国の臨床研究と日本国内の運用実態の両面から見ていきます。
本記事では、リジュランの仕組み・効果・料金、HB/i/Sの種類別の使い分け、水光注射との違い、そしてリスクまでを整理しました。「サーモンDNA注射」という呼び方だけが先行している印象もある施術ですが、実際に何が起きていて、どんな悩みに向くのか——その本質を一つひとつ解きほぐしていきます。
リジュランは、サーモン由来のポリヌクレオチド(PN)を主成分とする肌質改善のための注入治療です。ヒアルロン酸のように形を変える施術ではなく、皮膚そのものを内側から再生させ、毛穴・小じわ・ハリ不足を改善することを目指します。料金は1回30,000〜80,000円、3〜4回の継続が推奨で、ダウンタイムは1〜3日。施術時間は約20〜30分です。
※効果には個人差があります。⚠️ 未承認医薬品・適応外使用に関する重要な情報開示
本記事で解説する施術には、厚生労働省「医療広告ガイドライン(令和6年3月改訂)」に基づき、以下4項目の情報提供が必要です。
施術を検討される方は、使用製剤の承認状況・適応範囲・補償体制について、事前に医師へ必ず確認してください。
リジュラン(Rejuran)は、韓国のパームファーマ社が開発したサーモン由来のポリヌクレオチド(PN:Polynucleotides)を主成分とする注入治療です。日本では「サーモン注射」「PN注射」「サーモンDNA注射」とも呼ばれ、ヒアルロン酸とはまったく異なるアプローチで肌質を改善する施術として知られています。
ポリヌクレオチドはDNAの構成成分で、サーモン由来のDNA成分から抽出・精製されます。これを皮膚に注入すると、PN製剤は単にスペースを埋めるだけでなく、組織再生を促す作用があるとされており、韓国の臨床研究では30代の女性で毛穴と皮膚の厚みが顕著に改善し、40代の女性では肌トーン・メラニン・しわ・たるみの改善が報告されています(Park KY et al., Dermatol Ther. 2016)。
ヒアルロン酸が「水分を保持して肌をふっくら見せる」のに対して、リジュランは「肌そのものを内側から整える」点が大きな違いです。ボトックスやヒアルロン酸のような「シワを目立たなくする」施術というよりは、肌質そのもののコンディションを底上げしていくイメージに近い施術です。
韓国では2014年に発売され、2017年頃から日本でも取り扱いが始まりました。当初は美容クリニック関係者の間で認知が広まり、2020年代に入って一般層にも知られるようになりました。東京・大阪の美容皮膚科では2023年以降、取り扱うクリニックが急増し、現在は水光注射と並ぶ肌質改善の代表的な選択肢のひとつとして提案される機会が増えています。
💡 リジュランは「シワ取り」ではありません
カウンセリングでよくある誤解が、リジュランをヒアルロン酸と同じ目的で考えてしまうケースです。深いほうれい線を目立たなくしたい、涙袋を膨らませたいというときは、ヒアルロン酸(ほうれい線用)やヒアルロン酸(涙袋用)のほうが向いています。リジュランの本領は、毛穴・小じわ・キメ・ハリといった肌質そのものを整えていくところにあります。
リジュランには主に3つのシリーズがあり、悩みに応じて使い分けられています。クリニックによって取り扱う種類が異なるため、カウンセリング時に自分の悩みに合ったタイプを選んでもらうことが大切です。
| 製剤 | 主な目的 | 注入層 | 適応部位 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| リジュランHB | 肌質改善+保湿 | 真皮浅層 | 顔全体 | PN+ヒアルロン酸配合。痛みが少なく、初心者向け |
| リジュランi | 目元・口元集中ケア | 真皮中層 | 目尻・目の下・口角 | 細かい部位の小じわ・薄い皮膚に対応 |
| リジュランS | ニキビ跡・凹凸ケア | 真皮深層 | 頬・額の凹凸部 | クレーター状のニキビ跡・毛穴の凹凸改善 |
初めての方はリジュランHBから試すケースが多い傾向です。HBはポリヌクレオチドにヒアルロン酸が配合されているため、即効性のある潤いと肌再生効果の両方が期待できます。目元の細かいちりめんジワが気になる方はリジュランi、ニキビ跡や毛穴の凹凸が深い方はリジュランSと、悩みに応じてステップアップする流れが基本です。
| 効果 | 実感時期 | 持続期間 | 解説 |
|---|---|---|---|
| 毛穴の引き締め | 2〜4週間後 | 3〜6ヶ月 | 線維芽細胞の活性化により真皮のハリが回復し、毛穴の開きが目立ちにくくなります |
| 小じわの改善 | 2〜4週間後 | 3〜6ヶ月 | 目元・口元の浅いちりめんジワに対して効果的。深いシワには適応しにくい点に注意 |
| 肌のハリ感 | 1〜2週間後 | 3〜6ヶ月 | コラーゲン産生の促進により、皮膚にしっかりとした弾力が戻ります |
| キメの改善 | 2〜4週間後 | 3〜6ヶ月 | 真皮の水分保持力が高まり、肌表面のキメが整います |
| ニキビ跡の凹凸 | 1〜3ヶ月後 | 持続的 | リジュランSが特に有効。複数回の施術で徐々に平坦化していきます |
とくに実感しやすいのが「肌のハリ感」と「毛穴の引き締まり」で、施術から2〜4週間ほどで変化を感じ始める方が多いようです。実際、韓国の美容皮膚科医407名を対象にした調査では、毛穴の悩み(皮脂過剰・弾力低下・ニキビ)に対するPN注射の有効性について、医師の76〜84%が「有効」または「非常に有効」と回答しており、毛穴改善に関しての臨床的な評価が固まりつつあります(Lee D et al., Skin Res Technol. 2024)。一方で、ニキビ跡の凹凸改善には3〜4回、人によっては1年以上の継続が必要になることもあります。「1回でドラマチックに変わる」というよりも、「施術を重ねていくうちに少しずつ肌質が変わってくる」タイプの施術と思っておくのが現実的です。
💡 効果が出にくい肌タイプ
リジュランは線維芽細胞を活性化させる施術のため、肌の再生力が落ちている方(高齢の方・喫煙歴の長い方・極度の日焼けダメージがある方)では効果がやや出にくい傾向があります。こうした場合は、HIFU(ハイフ)や糸リフトと組み合わせることで、より高い効果が期待できます。
💡 料金表示について
以下に記載する料金はすべて税込の相場目安です。実際の料金はクリニックによって異なり、オプション費用(麻酔代・診察料・アフターフォロー費)が別途発生する場合があります。契約前に必ず総額を確認してください。効果には個人差があります。
リジュランの料金は、使用する製剤の種類と注入量(バイアル数)によって決まります。1回あたりの料金と、推奨される3〜4回まとめての料金をご紹介します。
| 製剤 | 1回相場 | 3回(合計) | 4回(合計) | 1バイアル |
|---|---|---|---|---|
| リジュランHB | ¥30,000〜¥60,000 | ¥90,000〜¥160,000 | ¥120,000〜¥210,000 | 2cc |
| リジュランi | ¥40,000〜¥70,000 | ¥110,000〜¥190,000 | ¥150,000〜¥250,000 | 1cc |
| リジュランS | ¥45,000〜¥80,000 | ¥130,000〜¥220,000 | ¥170,000〜¥290,000 | 2cc |
初回はお試し価格として19,800〜29,800円で受けられるクリニックも多く、東京・大阪をはじめとする主要都市の美容皮膚科では、初回限定価格を用意しているところが目立ちます。ただし初回限定の場合、使用バイアルが少なめ(0.5バイアルなど)になっていることもあるため、契約の前に「何バイアル使うのか」「2回目以降はいくらか」は必ず確認しておきましょう。
3〜4回まとめて申し込む回数券プランの場合、1回あたりの単価が10〜20%ほど割安になるケースが多くあります。ただし途中解約時の返金条件はクリニックによって異なるため、契約前に確認しておきましょう。
⚠️ 「リジュランHB+」「リジュラン+α」表記に注意
一部のクリニックでは『リジュランHB+』『リジュランプラス』といった独自の表記をしているケースがあります。多くは正規のリジュランHBにヒアルロン酸やビタミン剤を追加注入するメニューですが、まれに正規品でない類似製剤を使用しているクリニックもあると報告されています。カウンセリング時に「製造元はパームファーマ社か」「正規輸入ルートか」を必ず確認してください。
カウンセリングや美容情報サイトでは「リジュランと水光注射、どちらがいいですか?」という比較に関する質問が定番化しています。両者の違いを整理してみましょう。
| 項目 | リジュラン | 水光注射 |
|---|---|---|
| 主成分 | ポリヌクレオチド(PN) | ヒアルロン酸+ビタミン等 |
| 主な目的 | 肌再生・肌質改善 | 保湿・即時的なツヤ感 |
| 即効性 | 2〜4週間後から | 施術直後〜翌日 |
| 持続期間 | 3〜6ヶ月(施術完了後) | 1〜3ヶ月 |
| 1回料金 | ¥30,000〜¥80,000 | ¥15,000〜¥40,000 |
| 推奨頻度 | 1ヶ月間隔×3〜4回 | 1〜2ヶ月ごと |
| こんな方に | 毛穴・小じわ・ハリ重視 | イベント前・潤い重視 |
結論をシンプルに言えば、イベント直前なら水光注射、肌質を根本から変えたいならリジュランという棲み分けが分かりやすい目安です。水光注射は施術翌日から肌のツヤ感が出るため、結婚式や撮影前の駆け込みケアに適しています。一方のリジュランは複数回かけて取り組む施術のため、効果が出るまでに時間はかかりますが、肌そのものが変わっていく感覚を得やすいタイプです。
近年のトレンドとしては、両者を組み合わせる併用プランを提案するクリニックも増えてきました。「初回はリジュラン+水光注射のミックス、2回目以降はリジュラン単独」というパターンが代表例です。気になる方はカウンセリングで「併用プランはありますか?」と聞いてみると良いでしょう。
リジュランのダウンタイムは1〜3日とされます。注入直後から翌日にかけて、注射跡の赤み・内出血・小さな腫れが出ますが、48時間以内に大半が落ち着きます。マスクで隠せるレベルのため、翌日からの仕事復帰には支障がないケースがほとんどです。
| 時期 | 状態 | 過ごし方の目安 |
|---|---|---|
| 当日 | 注射跡・赤み・腫れ | 当日の洗顔・メイクは可。アルコール・激しい運動・サウナはNG |
| 翌日 | 赤み残存・小さな内出血 | マスクで隠せるレベル。コンシーラーでカバー可 |
| 3日後 | 赤み消退・内出血が薄く | ほぼ普段通り。日焼け止めはしっかり |
| 1週間後 | 注射跡完全消退 | 制限なし。肌のハリ感を実感し始める方も |
| 2〜4週間後 | 本格的な効果実感 | 毛穴・キメ・ハリの改善を感じる時期 |
赤み・内出血の出やすさには個人差がありますが、針を細かく刺す施術のため、ヒアルロン酸の単発注射よりも注射跡が目立ちやすい傾向があります。週末施術にして月曜から仕事という方は安心して受けられますが、平日の昼休みに受けて午後の会議に直行という使い方は難しいと考えておきましょう。
💡 内出血を最小化したい方へ
内出血が心配な方は、施術前1週間はアルコールや、血液をサラサラにする作用のあるサプリメント(オメガ3・ビタミンE・イチョウ葉エキスなど)を控えることをおすすめします。生理中も内出血が出やすい時期のため、できれば生理後1〜2週間以内の予約が理想的です。
リジュランは韓国を中心にアジア圏で広く使用されている注入治療ですが、日本では未承認医薬品であり、長期的な安全性に関する国内データは限定的です。すべての医療行為と同様にリスク・副作用があり、施術前にはカウンセリングで詳細を確認しておきましょう。
⚠️ 一般的な副作用(高頻度・自然軽快)
⚠️ まれに報告されるリスク(要注意)
施術前のカウンセリングでは、食物アレルギーの既往(特にサーモン・卵・大豆)を必ず医師に伝えてください。サーモンアレルギーの方は施術自体ができません。また、抗凝固薬(バイアスピリン、ワーファリンなど)を服用中の方は、内出血リスクが高まるため事前に必ず申告が必要です。
万一トラブルが発生した場合の対応として、施術後のフォロー体制が整っているクリニックを選ぶことも重要です。関連記事の美容医療の安全性とクリニックの選び方もあわせてご覧ください。
| 向いている方 | あまり向かない方 |
|---|---|
| 毛穴の開きが気になる方 | 深いほうれい線・マリオネットラインが主訴の方 |
| 目元・口元の細かいちりめんジワが気になる方 | シワを今すぐ消したい方(ヒアルロン酸がより適している) |
| 肌のハリ・キメを根本から改善したい方 | たるみが主訴の方(ハイフ・糸リフトが適応) |
| ニキビ跡の凹凸を改善したい方 | サーモンアレルギーをお持ちの方(施術不可) |
| 20〜50代の女性/男性 | 線維芽細胞が減少している高齢の方(効果やや限定的) |
| ヒアルロン酸を入れても肌そのもののくすみが気になる方 | 1回だけでドラマチックな変化を求める方 |
リジュランの効果を実感しやすいのは30代後半〜50代前半の方とされています。20代でも毛穴やニキビ跡の悩みがある方には十分効果が期待できますが、肌の自己再生能力が高い世代では「劇的に変化した」というより「肌の調子が安定する」という実感が中心となる傾向があります。
クリニックの施術メニューを比較すると、リジュランを単独で受けるパターンに加え、年齢層やお悩みに応じた組み合わせメニューを用意しているケースが増えています。たとえば、30代の毛穴・キメ重視の方にはリジュラン+水光注射、40代以降のたるみが気になり始めた方にはリジュラン+ハイフ、というのが定番の組み合わせとして提案されています。
| 組み合わせ | 適した悩み | 頻度の目安 |
|---|---|---|
| リジュラン+水光注射 | 毛穴・キメ・即時的な潤い両立 | 1ヶ月ごとに交互 |
| リジュラン+ハイフ | 肌質改善+たるみ予防 | ハイフ年1〜2回+リジュラン3〜4回 |
| リジュラン+ボトックス | 表情ジワ+小じわ両方ケア | エラボトックスは3〜6ヶ月、リジュランは月1回 |
| リジュラン+糸リフト | たるみ集中ケア+肌質再生 | 糸リフト1〜2年、リジュランは月1 |
| リジュラン+ピーリング | ニキビ跡+色素沈着 | 2週間ごとに交互 |
注意点として、複数施術を同日に受ける場合は順番が重要となります。一般的には「ハイフ→リジュラン」「ピーリング→リジュラン」のように、刺激の強い施術を先に行ってから注入治療を行います。逆順にすると、注入された薬剤が拡散して効果が薄まる可能性があります。
リジュランは日本では未承認医薬品であり、類似品・偽造品の流通が問題になっている製剤でもあります。クリニック選びでは次の3点を必ず確認してください。
パームファーマ社の正規輸入ルートを使用しているクリニックを選びます。ホームページやカウンセリングで「製造元」「輸入経路」を明示していないクリニックは避けたほうが賢明でしょう。
リジュランは細かい層に正確に注入する技術が必要な施術です。看護師ではなく医師が直接施術するクリニックを選びましょう。日本の医師法では注射行為は医師または看護師が行えますが、美容医療の繊細な注入は医師の経験が結果を大きく左右します。
注入直後のしこり・腫れ・内出血が長引いた場合に、無料で診察してもらえるかを確認します。「2週間以内なら無料再診」「内出血が長引いた場合は薬を処方」といった体制が整っているクリニックが望ましいでしょう。
💡 「初回限定¥9,800」表記には注意
各クリニックの初回価格を比較していくと、極端に安い価格設定には共通点が浮かび上がります。「使用バイアルが0.5本」「2回目以降の正規価格が¥80,000以上」「複数回パッケージへの加入が必須」のいずれかに該当することが多い傾向です。1バイアル(2cc)以上を使う場合の通常価格は30,000〜60,000円あたりが目安となるため、極端に安い場合は条件を確認しましょう。
リジュランは1回でも効果を実感できますが、本領を発揮するのは複数回の施術を終えてからです。韓国の皮膚科専門医235名を対象とした調査では、PN注射を行う皮膚科医のあいだで4週間隔で計3回の継続がもっとも一般的に推奨される間隔として報告されています(Rho NK et al., J Cosmet Dermatol. 2024)。クリニックによっては3〜4回をひとつのまとまりとして提案するケースもあり、肌質をしっかり改善したい場合は、そこに1〜2回追加していくイメージです。
| 回数 | タイミング | 期待される変化 |
|---|---|---|
| 1回目 | 初回 | 肌のしっとり感・ハリの初期実感 |
| 2回目 | 1ヶ月後 | 毛穴の引き締まり・キメの改善 |
| 3回目 | 2ヶ月後 | 小じわ・くすみの改善が明確に |
| 4回目 | 3ヶ月後 | 肌質の総合的な改善が完成 |
| メンテナンス | 3〜6ヶ月ごと | 効果の維持・追加改善 |
一連の施術が終わったあとは、3〜6ヶ月に1回のメンテナンス施術で効果を維持していくケースが多いようです。肌質を根本からリセットするには最初のひとまわりの施術が重要となるため、「1回お試しで満足してそれきり」になってしまうと、本来の効果を実感しないまま終わってしまうケースも少なくありません。
本記事は上記の学術文献に基づいて作成しており、医療情報の正確性を担保するため、すべて PubMed(米国国立医学図書館 NLM 運営の学術論文データベース)収載論文を出典としています。