鼻柱下降術 完全ガイド
引っ込んだ鼻柱を下げる術式・効果・料金・失敗回避を解説

鼻柱下降術(びちゅうかこうじゅつ/columellar lowering)は、引っ込んだ鼻柱(retracted columella)を下方に引き下ろし、鼻の穴が正面から見える状態・鼻が短く見える印象を改善する手術です。アジア人の鼻はもともと鼻柱が短く後退しやすい解剖学的特徴があり、鼻中隔軟骨が小さく支持力も弱いため、欧米人より高頻度でこの問題が見られます。本記事では、適応の見極め、術式(septal extension graft・composite graft・V-Y advancement)の選択、効果(鼻唇角の改善幅)、料金30〜90万円、ダウンタイム1〜2週間、失敗回避まで、医学論文5編を基に整理しています。

鼻柱下降術 — 引っ込んだ鼻柱を下げる術式と効果
広告なし・独立編集
ClinicJapan編集部は、皮膚科専門医によるサイト方針監修のもと、PubMed収載論文・公開された医療文献・厚生労働省「医療広告ガイドライン」をもとに記事を作成・更新しています。本記事は鼻柱下降術の術式起点で書かれた解説ガイドです。鼻柱が長い悩みは鼻柱縮小、鼻先を下方・前方に伸ばす術式は鼻中隔延長(SEG)、鼻整形全体は鼻整形 完全ガイドでまとめています。編集方針について →

「正面から鼻の穴が見えてしまう」「横から見ると鼻柱が引っ込んで鼻が短く見える」。こうした悩みは、医学的には鼻柱後退(retracted columella)または鼻柱-小鼻不均衡(alar-columellar disproportion)と呼ばれます。アジア人は鼻中隔軟骨が小さく、下外側軟骨の支持力も弱いため、生まれつき、あるいは過去のシリコンプロテーゼによる感染・拘縮の後遺症として、この状態が起こりやすいことが知られています[1]。鼻柱下降術は、鼻中隔軟骨や肋軟骨を使って鼻柱の骨格を作り直し、鼻柱を下方・前方に引き下ろす手術です。Park らの2013年36例の研究では、Septal extension graft による鼻柱下降を含む短鼻矯正で、鼻先プロジェクション(N-TDP)が11.2%増加し、columellar-facial angle が122.6°から111.1°へ減少したと報告されています[2]

鼻柱下降術は、引っ込んだ鼻柱を下方に引き下ろし、(1) 正面から見たときの鼻の穴の露出を減らす、(2) 横顔で鼻柱-上唇角(columellar-labial angle)を鋭角化する、(3) 鼻が短く見える印象を改善することを目的とした手術です。Kim らの2014年107例の報告では、鼻柱後退矯正群で鼻唇角が術前74.8°から術後94.6°へ平均約20°改善したと示されています[3]。主な術式は (1) Septal extension graft(鼻中隔延長)、(2) Caudal septal extension with strut graft、(3) V-Y advancement flap、(4) Composite graft(耳介軟骨+皮膚)の4種類で、症例の重症度と原因(先天性 vs 二次性)で選びます。料金は30〜90万円、ダウンタイムは1〜2週間が目安です。

※効果・ダウンタイム・料金には個人差・施設差があります。施術前に必ず医師の診察を受けてください。
iClinicJapanは厚生労働省の医療広告ガイドラインに沿って記事を作成しています。 詳細はこちら →

鼻柱下降術に関する重要な情報開示

本記事で解説する施術には、厚生労働省「医療広告ガイドライン(令和6年3月改訂)」に基づき、以下の情報提供が必要です。

  1. 自由診療:鼻柱下降術は、すべて保険適用外の自由診療です。
  2. 外科的処置・使用材料:本術式は切開を伴う処置です。使用される医療用縫合糸・自家軟骨(鼻中隔軟骨・耳介軟骨・肋軟骨)は、医師の個人輸入による国内未承認品が含まれる場合があります。
  3. 適応外使用:使用される医療用材料の本来の薬機法承認用途とは異なる、美容目的での使用は適応外使用に該当する場合があります。
  4. 諸外国における安全性情報・救済制度:鼻柱下降術は国際的に確立された美容外科手技ですが、術後合併症(瘢痕化・左右差・知覚異常・移植軟骨吸収・修正手術の必要性等)が一定の頻度で報告されています[4]。万一重篤な副作用が発生した場合、未承認材料の使用または医師の判断による施術については、日本の医薬品副作用被害救済制度の対象外となる点にご留意ください。

施術を検討される方は、術式の詳細・修正保証の範囲について、事前に医師へ必ずご確認ください。

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鼻整形シリーズ 40/45

鼻柱下降術とは|解剖と適応

このページの位置づけ:「鼻柱下降術」は引っ込んだ鼻柱を下方・前方に引き下ろす術式です。逆に鼻柱が長すぎる・下に垂れすぎている悩みは鼻柱縮小です。鼻先全体を下方・前方に伸ばす場合は鼻中隔延長(SEG)、鼻先の形を整える場合は鼻尖形成と切り分けます。鼻の穴が正面から見える悩みの原因が鼻柱の後退にある場合、第一選択がこの術式になります。

鼻柱(columella)は、左右の鼻の穴を仕切る、鼻先と上唇のあいだにある正中の柱状構造です。解剖学的には、鼻中隔軟骨の尾側(caudal septum)と、両側の内側脚(medial crura)、それを覆う皮膚と皮下組織からなります。鼻柱が引っ込むと、(1) 正面から鼻の穴が露出する(nostril show)、(2) 横顔で鼻柱-上唇角(columellar-labial angle)が開く、(3) 鼻全体が短く見える、という3つの印象変化が起こります。鼻整形の全体像もあわせて参照してください。

状態正面の印象横顔の印象第一選択
鼻柱後退(軽度)鼻の穴がやや見える鼻柱-上唇角がやや開くSeptal extension graft
鼻柱後退(中等度)鼻の穴が明らかに見える鼻柱が引っ込んで見えるSEG+strut graft
鼻柱後退(重度)鼻の穴がほぼ全部見える鼻全体が短い・上向きComposite graft
二次性(プロテーゼ感染後)瘢痕化・拘縮鼻柱の組織量が不足肋軟骨+composite graft
鼻柱下降術の解剖 — 鼻中隔軟骨・内側脚・鼻柱皮膚の構造

「鼻柱-上唇角」の正常値と異常値

鼻柱-上唇角(columellar-labial angle、または鼻唇角/nasolabial angle)は、横顔で鼻柱と上唇のあいだに作られる角度です。女性で95〜110°、男性で90〜95°が美的に好ましい範囲とされています。鼻柱が後退している方では、Kim ら 2014の報告で術前平均74.8°と、明らかに鋭角化(角度が小さい状態)していることが示されています[3]。鼻柱下降術で鼻柱を下方・前方に引き下ろすことで、この角度を正常範囲に戻すことが目的です。

適応の見極め|「鼻の穴が見える」だけでは不十分

「鼻の穴が正面から見える」状態は、鼻柱の後退だけでなく、(1) 小鼻が引き上がっている(alar retraction)、(2) 鼻先が上向きになっている(overrotated tip)、(3) 単純に小鼻が大きく開いている(wide nostril)などの原因もあります[5]。原因を見極めずに鼻柱下降術だけを行うと、効果が薄かったり、逆にバランスが崩れたりするリスクがあります。診察では、横顔写真・正面写真・斜め45°写真を撮影し、鼻柱-上唇角・alar-columellar relationship(小鼻と鼻柱の位置関係)を計測したうえで術式を決めます。鼻の穴が見える悩みの自己診断もあわせて参照してください。

鼻柱が引っ込む原因|先天性 vs 二次性

鼻柱の後退は、原因によって大きく先天性(congenital)と二次性(secondary、過去の手術の後遺症)の2つに分かれます。Park らの研究でも、36例中18例が先天性、18例が過去の鼻整形に続発する二次性と報告されており[2]、どちらも頻度の高い原因です。原因によって、必要な術式と難易度が大きく変わるため、まず自分のケースがどちらかを見極めることが重要です。

原因主な背景難易度第一選択
先天性(軽〜中等度)アジア人の解剖学的特徴標準Septal extension graft
先天性(重度)鼻中隔軟骨が極端に小さい肋軟骨+SEG
二次性(軽度)過去の鼻整形修正での組織変化Strut graft+SEG
二次性(重度)シリコン感染・拘縮の後遺症非常に高肋軟骨+composite graft

「先天性の鼻柱後退」はアジア人に多い:欧米人と比べてアジア人は、(1) 鼻中隔軟骨が小さい、(2) 内側脚(medial crura)の支持力が弱い、(3) 上唇から鼻先までの距離が短い、という解剖学的特徴があり、生まれつき鼻柱が引っ込みやすい傾向があります[1]。これは病気ではなく、人種差による「正常範囲のばらつき」です。気になる場合は美容外科的に矯正する選択肢があります。

「シリコンプロテーゼ感染後」の二次性が最も難しい

過去にシリコンプロテーゼによる隆鼻術を受け、感染や拘縮を起こした後の「contracted nose(拘縮鼻)」は、鼻柱後退の原因として最も対応が難しいケースです。シリコンが除去されたあとも、瘢痕組織が鼻柱・鼻先を上方に引き上げる力が残り、組織量自体も不足しているため、軟骨移植だけでは長さが足りません。Sertel らの2016年の報告では、こうした重度の鼻柱・鼻先後退に対して、シリコン除去+肋軟骨グラフト(L-shaped costal cartilage graft)+頬粘膜弁(gingivobuccal flap)を組み合わせる手技が示されています[4]。料金・難易度・修正の可能性をすべて事前に医師と確認する必要があります。

術式の種類|4タイプの比較

鼻柱下降術は単一の術式ではなく、症例の重症度・原因・組織量によって4つの主要術式から選びます。鼻尖形成 完全ガイドで関連術式を整理していますが、ここでは鼻柱下降に特化して解説します[5]

術式使用軟骨適応料金
Septal extension graft鼻中隔軟骨軽〜中等度・先天性30〜50万円
Caudal SEG+strut graft鼻中隔+耳介中等度40〜60万円
V-Y advancement flap軽度・皮膚のみ後退20〜35万円
Composite graft耳介軟骨+皮膚重度・組織量不足50〜80万円
肋軟骨+composite肋軟骨+耳介二次性・拘縮鼻70〜90万円
鼻柱下降術の4術式 — SEG・V-Y advancement・composite graft・肋軟骨

Septal extension graft(鼻中隔延長グラフト)

最も多く使われる第一選択の術式です。鼻中隔軟骨を一部採取し、尾側鼻中隔(caudal septum)の延長として固定することで、鼻柱の骨格を下方・前方に伸ばします。Kim らの2014年107例の研究では、3つのサブタイプ(Type I・II・III)の SEG が、目的別に使い分けられることが示されています[3]。鼻柱後退矯正群では、Type III SEG(septal extension graft fixed to membranous septum)が選ばれ、鼻唇角が74.8°→94.6°へ平均約20°改善したと報告されています。詳細な術式は鼻中隔延長(SEG)のページにまとめています。

Caudal SEG+strut graft の併用

SEGだけでは鼻柱の左右の支持が不足する症例では、columellar strut graft(鼻柱支柱グラフト)を併用します。耳介軟骨を細く加工して、左右の内側脚のあいだに挿入し、鼻柱の支持力を補強します。SEG と strut の組み合わせは、特に中等度の鼻柱後退+鼻先プロジェクション不足の症例で有効です。

V-Y advancement flap(皮膚弁前進)

鼻柱の皮膚自体は十分にあるが、その位置が後退している軽度の症例では、皮膚を切開してV字状の弁を作り、それをY字状に縫合し直すV-Y advancement で対応できる場合があります。軟骨移植が不要で、ダウンタイムも短く、料金も抑えやすいのが特徴です。ただし、骨格の問題(鼻中隔軟骨の不足)には対応できないため、適応は限定的です。

Composite graft(耳介軟骨+皮膚の複合移植)

鼻柱の組織量自体が不足している重度の症例では、耳介から軟骨と皮膚を一体で採取(composite graft)して、鼻柱の中に移植します。皮膚と軟骨を同時に補えるため、組織量不足を解消できる強力な選択肢ですが、(1) 耳の傷跡、(2) 移植組織の生着率(70〜90%程度)、(3) 色調差、というデメリットもあります。Jung らの2015年の研究では、こうした複合的アプローチを必要とする contracted nose に対して、septal integration graft の有効性が示されています[5]

効果の指標|鼻唇角・N-TDP・CFA

鼻柱下降術の効果は、主観的な「鼻の穴が見えなくなった」だけでなく、客観的な計測指標で評価します。代表的な指標は(1) 鼻唇角(nasolabial angle)、(2) N-TDP(nasion to tip-defining point、鼻根から鼻先までの距離)、(3) CFA(columellar-facial angle、鼻柱-顔面角)の3つです。

指標術前平均術後平均変化幅
鼻唇角(Kim ら 2014)[3]74.8°94.6°+19.8°
N-TDP(Park 2013)[2]+11.2%
CFA(Park 2013)[2]122.6°111.1°−11.5°

視覚的には、正面で鼻の穴の露出が減り、横顔で鼻柱が下方に伸びて鼻全体が長く見える変化が出ます。「鼻が短く見える」「鼻の穴が見える」という二つの悩みが同時に解消されるため、満足度も比較的高い手術です。ただし、変化幅は症例によって大きく異なります。鼻を高くする方法と組み合わせると、より自然な印象になります。

「過剰矯正」と「不足矯正」

SEGや肋軟骨で鼻柱を伸ばしすぎると、鼻柱が垂れ下がって長く見える(hanging columella)状態になります。これは別問題で、修正には鼻柱縮小が必要になることもあります。逆に矯正が不足していると「思ったほど変わらない」結果になり、再手術を要することもあります。症例経験の多い医師は、患者の元の鼻唇角・小鼻位置・上唇の長さを総合的に計測し、過剰でも不足でもない「個人にとっての最適バランス」を狙います。クリニック選びでは、シミュレーション画像で詳細をすり合わせてくれる医師を選ぶと、後悔を減らせます。

ダウンタイム|術後経過

術式腫れピーク外出可能最終仕上がり
V-Y advancement1〜3日抜糸後5〜7日1〜2か月
Septal extension graft3〜7日抜糸後7日3〜6か月
SEG+strut graft3〜7日抜糸後7日3〜6か月
Composite graft1週間〜抜糸後7〜10日6〜12か月
肋軟骨+composite1〜2週間〜抜糸後10〜14日6〜12か月

30代の典型的なスケジュール例

「結婚式の前撮りに間に合わせたい」「2か月後の同窓会まで」など、目標日から逆算してスケジュールを組むのが一般的です。経過の目安は次のとおりです。

リスク・失敗・修正

頻度症状持続対応
非常に高い腫れ・内出血1〜3週間冷却・経過観察
高頻度鼻柱の硬さ3〜6か月自然軟化
高頻度鼻先の知覚低下3〜6か月自然回復
中頻度傷跡の赤み(open法)3〜6か月テーピング・UVケア
低頻度移植軟骨の吸収・変形持続修正手術
低頻度左右差持続修正手術
低頻度過剰下降(hanging columella)持続鼻柱縮小での修正
低頻度(composite graftで5%程度)移植組織の壊死持続再移植

「鼻柱が硬くて違和感」の対処

鼻柱下降術の術後で特に多い訴えが、「鼻柱を触ると硬い」「動かない感じがする」というものです。これは、移植した軟骨が鼻柱の中に入っているため、ある程度避けられない感覚です。多くは3〜6か月で自然に軟化していきますが、極端な硬さが持続する場合は、医師に相談して移植軟骨の一部を削る修正を検討することもあります。

「composite graftの色調差」というリスク:耳介から皮膚+軟骨を一体で採取するcomposite graftでは、移植した皮膚が周囲の鼻柱皮膚と色調が違ってしまうリスクがあります。多くは6〜12か月で目立たなくなりますが、長期的に色調差が残ることもあります。このリスクは事前に画像で確認しておくと、術後の心理的負担を減らせます。安全性ガイドでは医師選びの軸をまとめています。

料金相場

料金表示について:以下の料金は税込の相場目安です。実際の料金はクリニック・術式・組織量によって異なり、麻酔代・術後検診料・抜糸代が別途発生する場合があります。

術式料金相場適応
V-Y advancement flap20万円〜35万円軽度・皮膚のみ後退
Septal extension graft30万円〜50万円軽〜中等度・先天性
SEG+strut graft40万円〜60万円中等度
Composite graft50万円〜80万円重度・組織量不足
肋軟骨+composite70万円〜90万円二次性・拘縮鼻
修正手術初回の1.5〜2倍

「セット価格」より「個別料金の納得感」

鼻柱下降術は単独で行うことより、SEG鼻尖形成と組み合わせて行うことが多いです。「鼻全体コース」「鼻柱+鼻先+小鼻セット」のような表示で総額が安く見える場合、各施術の料金が個別に見て納得できるかを必ず確認してください。美容整形全体の費用感支払いガイドもあわせて参照してください。

他施術との併用|鼻全体のバランス

鼻柱後退+他の悩み鼻柱下降術の役割併用候補
鼻柱後退のみ主役単独でOK
鼻柱後退+短い鼻並行SEG
鼻柱後退+鼻先が丸い並行鼻尖形成
鼻柱後退+低い鼻筋並行隆鼻術
鼻柱後退+小鼻が引き上がっている主役小鼻下降併用
鼻柱後退+上唇が長い役割小人中短縮(口元手術)
「鼻の穴を見えなくしたい」総合検討鼻の穴が見える悩み鼻柱・小鼻・鼻先の併用

「鼻柱+SEG」が最も多いセット

鼻柱が引っ込んでいる方の多くは、鼻先全体も短く・上向きになっています。鼻柱だけ下げて鼻先がそのままだと、バランスが崩れて違和感が出やすくなります。SEG(鼻中隔延長)と鼻柱下降を同時に行うことで、鼻先全体の長さ・角度を一度に整えるのが、現場で最も多いセットです。ダウンタイムも一度で済み、結果も総合的に整います。

術後のケア|結果を最大化する過ごし方

時期すべきこと避けるべきこと
当日〜3日冷却・安静・処方薬の服用飲酒・激しい運動・サウナ・うつ伏せ
4〜7日ギプス保護・処方薬を続ける強い洗顔・鼻を強く触る・メイク
抜糸後(7日〜)テーピング・UVケアサウナ・激しい運動・鼻を強くかむ
1〜3か月テーピング継続・UVケア徹底傷跡を強くこする・鼻柱のマッサージ
3〜6か月定期検診強い衝撃(スポーツでの鼻打撲等)

術後ケアで特に重要なのは、UVケア・テーピング・鼻柱への直接刺激を避けることの3点です。傷跡が紫外線に当たると色素沈着が長引き、テーピングをサボると傷跡が盛り上がりやすくなります。鼻柱を強く押すと、移植軟骨や縫合がずれるリスクがあるため、最低3か月は鼻柱を強く押さないようにします。カウンセリングガイドでは、医師に質問すべきことをまとめています。

よくある質問(FAQ)

Q. 鼻柱下降術は鼻中隔延長(SEG)と何が違いますか?
SEGは鼻先全体を下方・前方に伸ばす広い概念の術式で、鼻柱下降術はその中の「鼻柱を下げる」目的に特化した使い方です。実際の手術では、SEGの3つのタイプ(Type I・II・III)のうち、Type IIIが鼻柱後退矯正向けに最適化されています[3]。鼻柱だけが問題ならType III SEGまたはV-Y advancement、鼻先全体が問題なら標準的なSEGを選びます。詳細は鼻中隔延長(SEG)を参照してください。
Q. 鼻柱が引っ込んでいるかどうか、家でどう判定できますか?
鏡で横顔を見て、鼻柱と上唇のあいだの角度(鼻唇角)が90°未満に鋭角化していれば、鼻柱後退の可能性があります。正面では、鼻の穴が明らかに見える状態も判定材料です。ただし、小鼻の位置や上唇の長さも影響するため、最終的には診察での計測が必要です。鼻の穴が見える悩みの自己診断ページもあわせて参照してください。
Q. ヒアルロン酸で鼻柱を下げることはできますか?
軽度の鼻柱後退には、ヒアルロン酸注入で鼻柱の前方部分にボリュームを足すことで一時的に下降させる方法があります。料金は5〜15万円、ダウンタイムはほぼゼロですが、効果の持続は6か月〜1年と短く、注入量にも限界があります。中等度以上の鼻柱後退には骨格的アプローチ(SEG・composite graft)が必要です。「お試し」としてヒアルロン酸から始め、満足できなければ手術を検討する段階を踏む方も多いです。
Q. 30代でも鼻柱下降術を受けて大丈夫ですか?
受けられます。鼻柱下降術を受ける方の年齢層は20代から50代まで幅広く、なかでも30代からの相談が一番多い印象です。10〜20代に比べると皮膚の伸縮性がやや落ちる影響で術後のラインが出やすくなる傾向はありますが、術式選択を細かく合わせれば自然な仕上がりにできます。「写真の鼻が短く見える」「マスクを外したときの印象が気になる」という具体的な悩みで来る方が多いのも30代の特徴です。
Q. 過去にシリコンプロテーゼを入れていて感染を起こした場合、鼻柱下降術は受けられますか?
可能ですが、難易度が大きく上がります。シリコン感染後の「contracted nose(拘縮鼻)」は、瘢痕組織と組織量不足のため、標準的なSEGだけでは長さが足りないことが多いです。Sertel らの報告では、肋軟骨グラフトと頬粘膜弁を組み合わせる手技が有効と示されています[4]。料金は70〜90万円、ダウンタイムも2週間以上が目安です。修正経験の豊富な医師に相談することが重要です。
Q. 鼻柱下降術で「鼻が長くなりすぎる」リスクはありますか?
あります。SEGや肋軟骨で鼻柱を伸ばしすぎると、hanging columella(鼻柱が下に垂れすぎた状態)になり、別の悩みになります。経験豊富な医師は、患者の元の鼻唇角・上唇の長さ・小鼻位置を計測したうえで、伸ばす長さを細かく調整します。シミュレーションを丁寧に行ってくれる医師を選ぶことが、このリスクの回避策になります。万一発生した場合、鼻柱縮小で修正が可能です。
Q. ダウンタイムはどのくらいかかりますか?
術式によって異なります。V-Y advancementは抜糸後5〜7日、SEGは抜糸後7日、composite graftは抜糸後7〜10日、肋軟骨を使う場合は抜糸後10〜14日が目安です。最終仕上がりはSEGで3〜6か月、composite graftや肋軟骨で6〜12か月です。30代では大型連休(GW・夏季休暇・年末年始)の前後に手術を組む方が多いです。
Q. 手術して「不自然な鼻柱」になりませんか?
過剰矯正・移植軟骨のラインが目立つ・色調差などのリスクはあります。先述のPark らの研究では、鼻柱下降を含む短鼻矯正の長期経過(平均29.8か月)で全体的な満足度が報告されています[2]。経験豊富な医師は、患者の元の解剖を計測したうえで、移植軟骨のサイズ・形を細かく調整します。過去の症例写真と一緒にシミュレーションを見せてくれる医師なら、自然な仕上がりに近づける確率が高くなります。
Q. 満足できなかった場合、修正はできますか?
可能ですが、修正手術は初回より1.5〜2倍難しく、料金も1.5〜2倍上がるのが一般的です。理由は、瘢痕組織で皮膚の動きが制限され、移植軟骨の再採取が必要なケースもあるためです。鼻中隔軟骨は初回でほぼ採取済みのことが多く、修正では耳介軟骨や肋軟骨が必要になります。初回にどの医師に依頼するかで、その後の費用感も結果も大きく変わってきます。複数のクリニックでカウンセリングを受け、医師の症例数・修正対応の体制・補償の有無を確認してから決めたほうが、後悔が少なくなります。
Q. SEGと鼻柱下降を同時にやった方がいいですか?
多くの場合、同時がおすすめです。鼻柱が引っ込んでいる方の多くは、鼻先全体も短く・上向きになっているため、両方を同時に整えることでバランスが取れます。同時手術はダウンタイムが一度で済み、二度の麻酔も避けられます。ただし、症例によっては段階的に行うこともあるため、診察で医師に確認してください。
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参考文献(PubMed 収載論文)

  1. Jang YJ, Yi JS. “Perspectives in Asian rhinoplasty.” Facial Plast Surg. 2014;30(2):123-130. PMID 24810123
  2. Park JH, Mangoba DC, Mun SJ, Kim DW, Jin HR. “Lengthening the short nose in Asians: key maneuvers and surgical results.” JAMA Facial Plast Surg. 2013;15(6):439-447. PMID 24030660
  3. Kim JH, Song JW, Park SW, Oh WS, Lee JH. “Effective Septal Extension Graft for Asian Rhinoplasty.” Arch Plast Surg. 2014;41(1):3-11. PMID 24511488
  4. Sertel S, Venara-Vulpe II, Pasche P. “Correction of severe columella and tip retraction in silicone implanted Asian short noses.” J Otolaryngol Head Neck Surg. 2016;45:19. PMID 26965308
  5. Jung DH, Jin SG, Hyun SM. “Correction of Short Nose.” Facial Plast Surg Clin North Am. 2018;26(3):377-388. PMID 30005793

本記事は上記の学術文献をもとに作成しており、医療情報の正確性を担保するため、すべて PubMed(米国国立医学図書館 NLM 運営の学術論文データベース)収載論文を出典としています。

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