鼻根(びこん)が低い悩み
原因・自己診断・ヒアル/プロテーゼ/糸の改善法を医学論文ベースで解説

鼻根(びこん/radix)は、眉間と鼻の境目にある「鼻の起点」。ここが低いと、顔全体の立体感が乏しく見えたり、メガネがすぐにずり落ちやすかったり、メイクの陰影が決まりにくかったりします。鼻筋全体を高くする隆鼻術と違い、鼻根だけのピンポイント施術で済むことも多い悩みです。本記事では Daniel 2008 の diced cartilage 研究や Wu 2016 のアジア人ファイラー注入コンセンサスをもとに、ヒアル・プロテーゼ・糸・自家軟骨の選び方をまとめます。

鼻根(びこん/radix)の解剖と低い鼻根の3タイプ
広告なし・独立編集

「鼻根」と「鼻筋」の違いを最初に確認:鼻全体の中で、本記事が取り上げるのは「鼻根(radix)」だけです。鼻全体は「鼻根 → 鼻背(dorsum) → 鼻尖(tip)」の3パーツで構成されていて、本記事はもっとも上の「鼻根」に焦点を絞ったガイド。鼻全体を高くする隆鼻術、鼻先を整える鼻尖形成とは違うアプローチです。「鼻筋全体は普通なのに鼻根だけ低い」という方には、本記事のピンポイント施術が向いています。

ClinicJapan編集部は、皮膚科専門医によるサイト方針監修のもと、PubMed収載論文・公開された医療文献・厚生労働省「医療広告ガイドライン」をもとに記事を作成・更新しています。本記事は鼻根に焦点を絞った詳細ガイドで、鼻整形全体については鼻整形 完全ガイド、鼻筋全体は隆鼻術、ヒアル単体は鼻ヒアルロン酸でまとめています。編集方針について →

メガネが鼻に乗らずに頬骨や鼻先で止まる。眉間が平らに見える。目と目のあいだに陰影が出ない。日常で繰り返し起こるこうした現象の背景には、鼻根の高さが関わっていることがよくあります。鼻根は眉間の高さからほんの数mm前に張り出している部分で、わずか3〜4mmの違いが顔の立体感を大きく左右します。アジア人の顔の構造に関する文献では、東アジア人の鼻根は欧米人と比べて低い傾向があり、これが顔の立体感の差につながる要因のひとつと一般に指摘されています[1]。鼻根の悩みは、自己診断のしやすさと施術の選択肢の多さが特徴。ヒアル・プロテーゼ・糸・自家軟骨それぞれにメリット・デメリットがあり、長期コストの観点も含めて選ぶのがポイントです。

鼻根(びこん/radix)は眉間と鼻の境目にある「鼻の起点」。アジア人の鼻整形に関する文献では、東アジア人の鼻根は欧米人と比べて低い傾向があり、これが顔全体の立体感を弱める要因と一般に指摘されています[1]。改善法は症状の程度と希望する持続期間で決まり、軽度ならヒアルロン酸(3万~8万円・6〜12か月)、中等度なら糸(6万~18万円・6〜12か月)または自家軟骨グラフト(30万~60万円・長期維持)、重度ならシリコンプロテーゼ(30万~70万円・長期維持)またはオーダーメイドプロテーゼ(40万~80万円・長期維持)が、よく選ばれる選択肢です[1]。鼻全体を上げる隆鼻術と違い、鼻根だけの単独施術で済むケースも少なくありません。

※効果・ダウンタイム・料金には個人差・施設差があります。本文中の学術論文の数値は研究上のデータであり、すべての方に同じ結果を保証するものではありません。施術前に必ず医師の診察を受けてください。
iClinicJapanは厚生労働省の医療広告ガイドラインに沿って記事を作成しています。 詳細はこちら →

鼻根施術についての重要な情報開示

本記事で解説する施術には、厚生労働省「医療広告ガイドライン(令和6年3月改訂)」に基づき、以下の情報提供が必要です。

  1. 自由診療:鼻根に対するヒアルロン酸・プロテーゼ・糸・自家軟骨はすべて保険適用外の自由診療です。
  2. 未承認医薬品・適応外使用:鼻根に使用される一部のヒアルロン酸製剤は、日本の薬機法上、鼻根領域への注入用としての承認を取得していない場合があります。シリコンプロテーゼも医師の個人輸入により調達されるケースがあります。
  3. 外科的処置:プロテーゼ挿入・自家軟骨グラフトは皮膚・粘膜切開を伴う観血的処置です。
  4. 諸外国における安全性情報・救済制度:鼻根領域のヒアル注入は、血管合併症(眼動脈閉塞による失明等)リスクが鼻整形のなかでもとくに高い部位です[1]。未承認材料の使用または医師の判断による施術については、日本の医薬品副作用被害救済制度の対象外となる点にご留意ください。

施術を検討される方は、使用製剤・適応範囲・補償体制について事前に医師へかならずご相談ください。

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鼻整形シリーズ 20/23

鼻根の解剖|「鼻の起点」はどこにあるか

このページの位置づけ:「鼻根が低い」は、鼻の起点(眉間側)の悩みです。鼻の悩みは部位ごとに改善法が違います:横顔のコブ=鷲鼻、鼻先が下垂=垂れ鼻または魔女鼻、鼻の穴が見える=鼻の穴が正面から見える原因、鼻柱が長い=鼻柱縮小。自分の悩みが「本当に鼻根なのか」を、まず切り分けることが大切です。

鼻根(radix)の位置は、医学的に厳密な定義があります。鼻整形の標準的な解剖学的定義では、「上瞼の縁を結んだ水平線と鼻のドーサルラインが交わる点」が鼻根(radix point)とされています[1]。簡単に言えば、目を開いたときの「瞼のラインの高さ」と「鼻筋のライン」が出会う場所です。鼻整形全体の解剖マップでも詳しくまとめています。

鼻根(radix)の解剖図 — 眉間・procerus筋・鼻骨・glabellaの位置関係
鼻根周辺の構造役割施術での扱い
鼻骨上端鼻根の骨性基盤プロテーゼ・自家軟骨の土台
procerus筋(鼻根筋)眉間を下げる筋肉シワが目立つ場合はボトックスで併用
glabella(眉間)鼻根の上端境界施術範囲の境界点
SMAS(表在性筋膜)皮膚と骨のあいだの層ヒアル・糸の挿入レイヤー
背鼻動脈・滑車上動脈血管走行注入時の最重要回避ポイント

「鼻根高さ」の医学的測定法

鼻根高さは一般的に「内眼角(目頭)から鼻のドーサルラインまでの垂直距離」で測定され、東アジア人ではこの値が欧米人と比べて低い傾向があると報告されています[1]。「自分が低いのか普通なのか」は、ご自宅では正確に測ることはできませんが、目安として真横から見て眉間と鼻先がほぼ一直線になっていれば、鼻根が低い可能性が高くなります。

東アジア人特有の解剖特徴

Suh 2021年(PMID 34579840)の東アジア人を対象とした美容鼻整形に関する総説では、東アジア人の鼻に共通する次のような特徴が示されています[1]

これらの特徴があるため、東アジア人の鼻根施術は「西洋人と同じ手法では効果が出にくい」と言われています。日本人の鼻の解剖を踏まえた医師選びが、仕上がりの違いに直結します。

自己診断|自分の鼻根は低い?

ご自宅でできる4つのチェック方法をまとめます。

4つのセルフチェック

チェック方法判定ポイント低い鼻根のサイン
(1) 真横プロフィール写真眉間と鼻先のラインほぼ一直線(凹みが浅い)
(2) メガネのフィットメガネが鼻に乗るか頬骨や鼻先に寄り、ずり落ちる
(3) 正面メイクの陰影シェーディング・ハイライトの効果陰影が出にくい・平板に見える
(4) 目の幅と鼻幅の比目と目のあいだの距離目と目が離れて見える

(1) 真横プロフィール写真でのチェック

信頼性がもっとも高いのは、真横から自撮り。眉間から鼻先まで、定規をあてて直線を引いてみてください。定規が眉間と鼻先に接していて、鼻根の凹みが浅い(2〜3mm以下)なら鼻根が低い可能性が高いです。理想的な鼻根の凹みは4〜6mmとされ、これより浅いと平板な印象になります。一般的な解剖学的・美容医学の文献では、女性で鼻根凹みの理想は5mm前後とされています[1]

(2) メガネのずり落ち

意外に大きな日常サインがメガネの位置。鼻根が低いと、メガネの鼻パッドが「乗る場所」がなく、頬骨で支える形になります。これだと(1) 鼻先や頬骨に痕がつく、(2) 鼻パッドが鼻先まで滑り落ちる、(3) フレームが下に向くといった不便が日常的に起こります。メガネのフィット感が悪い背景には、鼻根の高さ不足が関わっているケースもあります。

(3) 正面メイクの陰影

メイクで「シェーディング・ハイライト」の効果が出にくい方も、鼻根の低さが原因の可能性。鼻根に高さがあると、自然と陰影が生まれ、シェーディングを入れなくても立体感がある状態。鼻根が低いとシェーディング・ハイライトでも限界があり、のっぺりした印象になりがち。「メイク動画を真似しても、なぜか陰影が出ない」と感じる方は、メイクのテクニックではなく骨格そのものが原因のこともあります。

(4) 目と目の距離

鼻根が低いと、目と目のあいだが平らにつながって見える状態になります。実際の目の距離は変わっていないのに、鼻根の凹みがないため、視覚的に目が離れて見える錯覚。これも鼻根施術後にひときわ変化を実感しやすい部分で、「鼻が高くなった」というより「目元の印象が変わった」「目力が出た」と感じる方も多いようです。

カウンセリングで確認したい数値:カウンセリングで「今より何mm出すイメージか」を具体的な数字で説明してくれる医師は、シミュレーションを丁寧に行っているサイン。逆に、希望のイメージを伝えても具体的な数字が返ってこない場合は、術後の仕上がりがイメージとズレることがあるので、別のクリニックでも所見を聞いておくと安心です。カウンセリングガイドで、医師に聞くべき質問をまとめています。

鼻根を上げる4つの方法|選び方

鼻根を上げる方法は、大きく4つに分かれます。「気軽に始めたい」「長期効果を求めたい」「自然な仕上がり重視」「予算重視」など、何を優先するかで選択が変わります。

鼻根を上げる4つの方法 — ヒアル・糸・プロテーゼ・自家軟骨の比較
方法持続料金ダウンタイム主なメリット
ヒアルロン酸6〜12か月3万~8万円1〜3日後戻り可・侵襲ゼロ
糸(PDO/PCL)6〜12か月6万~18万円3〜7日ヒアルより自然な持ち上げ
シリコンプロテーゼ長期維持30万~70万円2〜3週間明確な形状変化
自家軟骨グラフト長期維持30万~60万円2〜3週間異物なし・自然

(1) ヒアルロン酸(radix HA filler)

もっとも侵襲が小さく、気軽に試したい方に向いた方法。鼻根の凹みを埋めるように骨膜直上の深層レイヤーに少量のヒアルロン酸を注入。鼻ヒアルロン酸のページでくわしく解説していますが、Tamura 2025年(PMID 40358958)の日本のクリニック群による290,307例のヒアル合併症レトロスペクティブ研究では、重篤合併症の発生率は0.0041%と報告されています[2]。料金は3万~8万円、持続6〜12か月、ダウンタイム1〜3日。

鼻根は鼻整形のなかでも血管リスクがとくに高い部位:鼻根領域には滑車上動脈(supratrochlear artery)が走っていて、これが眼動脈と吻合しています。ヒアルが血管に逆行すると、失明・皮膚壊死を起こすリスクがあります。Beleznay 2019年(PMID 30805636)のレビューでは、ヒアル注入による失明事例のなかでも鼻根を含む眉間・鼻領域での発生頻度が高いことが報告されています[3]。鋭針よりカニューレ(blunt-tip cannula)を使う、骨膜直上の深層レイヤーに注入する、医師の解剖知識と経験を念入りに確認するなど、ほかの部位以上に慎重な選択が必要になります。

(2) 糸(PDO/PCL)

吸収糸(PDOまたはPCL)を鼻根から鼻背方向へ挿入し、軽度の持ち上げ効果を狙う方法。「ヒアルは怖いが、もう少し自然に上げたい」というお悩みに合います。糸リフトによる鼻根アグメンテーションでは、軽度の高さ向上が期待できますが、効果は6〜12か月で消失します。料金6万~18万円、持続6〜12か月。糸リフト全般のガイドにもくわしくまとめています。

(3) シリコンプロテーゼ(rad-only implant)

鼻根のみに専用設計の小さなシリコンプロテーゼを挿入する方法。「Lシェイプ」や「Iシェイプ」より小さい「radix-only」または「ストレート型」を使うのが、いまの主流です。Suh 2021年(PMID 34579840)の総説では、東アジア人の鼻整形で「鼻根の高さは控えめに」整えることが成功の鍵とされ、過剰なプロジェクションは不自然な印象につながると指摘されています[1]。料金30万~70万円、長期維持、ダウンタイム2〜3週間。

(4) 自家軟骨グラフト(autologous cartilage graft)

耳介軟骨や鼻中隔軟骨を採取して、鼻根に移植する方法。異物が体内に残らない・触感が自然なのが最大のメリット。Park 2016年(PMID 27752742)の15例の臨床研究では、アジア人の主要な鼻背挙上に対して軟骨を細かく刻んで筋膜で包む「diced cartilage in fascia」技法が用いられ、良好な美的・機能的結果が得られた一方で、軽度の偏位・supratip下凹・軟骨吸収などの合併症も一定割合で発生したと報告されています[4]。料金30万~60万円、長期維持、ダウンタイム2〜3週間。

「気軽に試す」か「長期効果」か|決め方

4つの選択肢のうちどれを選ぶかは、「まず気軽に試したい」か「一度で済ませたい」かの方向性で大きく決まります。

ご希望第一選択第二選択
「まず気軽に試したい」ヒアル
「長期効果を求めたい」自家軟骨プロテーゼ
「異物は嫌だ」自家軟骨ヒアル
「予算重視」ヒアル
「ダウンタイムをほぼなくしたい」ヒアル
「明確な形状変化」プロテーゼ自家軟骨

「ヒアルから始めて様子見」のメリット

「いきなり長期効果のある施術は怖い」という方は、ヒアルから始めるのが現実的な選択です。1年継続して「気に入ったから長期効果のある術式にしたい」と思えば、後でプロテーゼや自家軟骨に切り替えできます。逆に「思ったほど変化が分からない」「ヒアルを溶かしてもとに戻したい」と感じても、ヒアロニダーゼで溶解できます。後戻りできる点が、ヒアルの大きな安心材料です。

「5年で見ると長期効果のある術式のほうが安い」も事実

ヒアルを毎年継続すると、5年累計で15万~40万円。一方、自家軟骨グラフトは1回で30万~60万円、長期維持。長期で見ると3年以上続ける予定があるなら長期効果のある術式のほうがコスト面で有利になる計算です。「とりあえず1〜2年でやめるかも」ならヒアル、「ずっと続けたい」なら長期効果のある術式、という基準で考えると分かりやすくなります。美容整形全体の費用感のページにもまとめています。

「鼻全体」と「鼻根のみ」の見極め:カウンセリングで「鼻全体を上げましょう」と提案された場合、自分の悩みが鼻全体なのか鼻根だけなのかを慎重に確認しておきたいところ。鼻全体プロテーゼ(Lシェイプ)はかつての主流でしたが、いまは「鼻根は控えめ、鼻先は自家軟骨で支える」というハイブリッド方式が主流になっています。いまもLシェイプを第一に勧めるクリニックは、最新のトレンドから少し遅れている可能性も考えられます。隆鼻術のページでもふれています。

ダウンタイム|術式別の経過

術式当日〜3日1週間2〜3週間3か月以降
ヒアル軽度腫れ・赤み通常生活
腫れ・違和感抜糸なし・通常生活
プロテーゼ強い腫れ・内出血抜糸・腫れ大幅に引く近距離でも自然完成・テーピング
自家軟骨強い腫れ・採取部位の痛み抜糸耳の傷跡赤み耳介傷跡白くなる・完成

ヒアルは「当日帰宅・翌日勤務」が可能

ヒアルロン酸による鼻根注入は、施術時間が10〜20分程度と短く、ダウンタイムも極めて短い。当日に軽い腫れと赤みが出ますが、翌日にはほぼ消失。「土曜に施術して月曜から普通に出勤」というスケジュールが可能で、ダウンタイムが取れない方には心強い選択肢になります。

プロテーゼは「2週間ダウンタイム」が必要

プロテーゼ挿入の場合、強い腫れと内出血が10〜14日続きます。マスクで完全には隠せず、メガネをかけても眉間〜鼻根の腫れは目立つので、人前に出にくい期間が2週間と見込んでおく必要があります。1週間休めない方は、土日2回を含めた9日間の連続休みを取るなど、計画的なスケジュール組みが必要になります。

リスク・失敗・修正

術式主なリスク頻度対応
ヒアル血管閉塞(失明・皮膚壊死)まれ緊急ヒアロニダーゼ
ヒアルチンダル現象(青く透ける)低〜中頻度溶解剤で修正
糸の移動・触れて分かる中頻度糸の除去
プロテーゼプロテーゼ偏位・浮き中頻度位置修正・再手術
プロテーゼ感染・拒絶低頻度抗生剤・抜去
自家軟骨吸収・部分萎縮中頻度追加グラフト
自家軟骨耳介の傷跡・変形低頻度耳介修正
全術式左右差低〜中頻度修正

鼻根は血管リスクが高い部位

鼻根のヒアル注入でもっとも慎重に扱うべきなのが血管合併症のリスク。Beleznay 2019年(PMID 30805636)のレビューでは、ヒアル注入による失明事例のなかでも鼻根を含む眉間・鼻領域での発生頻度が高いことが報告されています[3]。これは滑車上動脈と眼動脈の吻合が、鼻根の解剖学的特徴として存在するため。「失明を起こしうる施術」であることを念頭に、医師の経験・技量、blunt-tip cannulaの使用、骨膜直上の深層レイヤーへの注入。こうした安全策が揃っているか確認したうえで施術を受けるのがおすすめです。

プロテーゼ偏位は数年後に起こる

プロテーゼ挿入は長期維持ですが、5〜10年後に「プロテーゼが浮き出る」「位置がずれる」といった偏位(migration)が発生する症例があります。アジア人鼻整形に関する文献では、シリコンプロテーゼを長期使用した場合の偏位(migration)リスクが指摘されています。偏位が出たら位置修正手術が必要で、料金は初回の50〜80%程度。プロテーゼを選ぶ際は、長期フォロー体制のあるクリニックを選んでおくのが望ましいです。

「Lシェイプ・プロテーゼ」の長期リスク:鼻根から鼻先まで一直線のLシェイプ・プロテーゼは、鼻先の皮膚を圧迫して「皮膚穿孔(skin perforation)」を起こすリスクがあることが知られています。L字型プロテーゼの長期追跡に関する一般的な文献では、皮膚穿孔のリスクが指摘されており、Iシェイプや自家軟骨とのハイブリッド方式への移行が、いまは世界的な主流になっています。いまもLシェイプを第一に推奨してくる医師は、最新の知見へのキャッチアップが進んでいない可能性も考えられます。複数のクリニックで方針を聞き比べてから決めるのが安心です。

料金相場と5年コスト比較

料金表示について:以下の料金は税込の相場目安です。実際の料金はクリニックによって異なり、麻酔代・術後検診料・修正費用が別途発生する場合があります。

施術1回料金5年累計コスト備考
ヒアル(年1回)3万~8万円15万~40万円6〜12か月ごと再注入
糸(年1回)6万~18万円30万~90万円6〜12か月ごと再施術
プロテーゼ(1回・長期維持)30万~70万円30万~70万円偏位発生時は修正費用追加
自家軟骨(1回・長期維持)30万~60万円30万~60万円吸収時は追加グラフト
修正手術(全術式)初回の50〜100%個別見積もり10年スパンで発生する可能性

「3年継続でヒアルから長期維持が逆転」

ヒアルを年1回継続すると、3年で9万~24万円、5年で15万~40万円。これに対して自家軟骨グラフトは1回で30万~60万円。3〜5年継続する見込みなら長期効果のある術式のほうが結果的に費用を抑えられる計算になります。「とりあえず1年だけ」「まず試してみたい」ならヒアル、「ずっとこの形を保ちたい」「メガネが快適に乗るようにしたい」なら長期効果のある術式、という基準で考えると判断しやすくなります。

料金が極端に低い場合は内訳の確認を

「鼻根ヒアル ¥10,000〜」という極端に安い表示を見かけたら、(1) 使用する製剤、(2) 注入量、(3) 麻酔代・診察料の内訳を必ず確認しましょう。鼻根は失明リスクのある部位なので、安価なヒアルを大量に使うのではなく、安全性の高い製剤を少量ずつ慎重に注入できるクリニックを選ぶほうが賢明です。支払いガイドでは、医療ローン・分割払いの選び方をまとめています。

メガネがずり落ちる悩みと鼻根

鼻根の低さで意外に多いのがメガネのフィット問題。鼻根の高さが3〜5mm改善すると、メガネが鼻パッドで支えられるようになり、(1) ずり落ちにくくなる、(2) フレームが傾きにくくなる、(3) 鼻先や頬骨に痕がつきにくくなるといった変化が見られることがあります。「美容のため」というよりも「メガネ生活が楽になるため」という実用的な動機で鼻根施術を受ける方も、近年は増えています。

メガネとの両立で選ぶなら

ご希望おすすめ術式理由
毎日メガネをかけるプロテーゼまたは自家軟骨長期維持で安定した支え
たまにメガネヒアル後戻り可・侵襲ゼロ
近視・乱視で重いメガネ自家軟骨(強度高い)長期の重さに対応しやすい
サングラスのみヒアル使用頻度が低いので維持しやすい

レーシック・ICL手術より鼻根施術のほうが先に検討されるケースもあります。視力矯正手術より侵襲が小さく、料金も似ているためです。ただし鼻根施術は美容医療なので、メガネをかけずに過ごすことを主な目的にする場合は、視力矯正手術(保険適用外)との比較検討が必要になります。

他施術との併用|顔全体のバランス

鼻根は単独で施術しても効果がありますが、ほかの顔の悩みと一緒に整えることで、より自然なバランスになることが多い部位です。

同時に気になる悩み併用候補順序の目安
鼻全体が低い隆鼻術同時または鼻根後
鼻先が丸い鼻尖形成鼻根と同時
鼻翼基部のへこみ貴族手術鼻根後
眉間の縦シワ眉間ボトックス鼻根と同時
涙袋がない涙袋ヒアル鼻根後
顔全体ののっぺり感顎ヒアル・額ヒアル段階的
鼻根+鼻筋のハンプ鷲鼻の改善「鼻根を上げてハンプを目立たなくする」効果も
鼻根+鼻が長く見える魔女鼻の改善鼻根を上げると相対的に鼻長が短く見える
鼻根+鼻の穴が見えるタイプ別治療原因タイプの判別から

眉間ボトックスとの組み合わせ

鼻根の改善と一緒によく行われるのが眉間(procerus筋・corrugator筋)へのボトックス注射。鼻根を上げたあとに眉間の縦シワが目立つようになる場合があるからです。procerus筋に2〜4単位、corrugator筋に各8〜12単位を打つのが標準。料金は1万円〜3万円、ダウンタイムほぼなし、効果3〜4か月。

「目力」を出したいなら涙袋と組み合わせ

鼻根が上がると目と目のあいだの陰影が出て、目力が増す効果があります。これに涙袋ヒアルを組み合わせると、目元の立体感がさらに強調されます。鼻根 → 涙袋の順序、または同時施術が一般的。両方をヒアルロン酸で行えば、ダウンタイムも1〜3日で済みます。

術後のケア|結果を長持ちさせる過ごし方

術式当日〜3日1週間1か月以降
ヒアル注入部位を冷却・激しい運動避ける通常生活触らない
大きな表情・うつ伏せ避けるテーピング継続表情の動きに注意
プロテーゼうつ伏せ・うがい避ける抜糸・通常生活テーピング3か月
自家軟骨うつ伏せ避ける・耳介ガーゼ抜糸・耳介ケアテーピング3か月

プロテーゼ・自家軟骨の「3か月テーピング」

プロテーゼと自家軟骨グラフト後の最終仕上がりに大きく関わるのが術後3か月のテーピング。鼻根と鼻背を軽くテープで固定し、プロテーゼ・グラフトの位置安定をサポートします。「忙しくて貼り忘れる」では、せっかくの仕上がりが甘くなるリスクが出てきます。3か月分のテープをまとめて買っておき、朝の洗顔後に貼る流れをルーティンにしてしまうと、無理なく続けられます。

「鼻根マッサージ」は逆効果

「形をキープしたくてマッサージする」「メガネをかけて押す」のは、ヒアル・プロテーゼ・自家軟骨の位置をずらすリスクがあるため術後は厳禁。鼻を高くする方法でも触れている通り、「マッサージで鼻が高くなる」という民間説には解剖学的根拠が薄く、術後はとりわけ避けたい行為。「気になっても触らない」のが、長期の仕上がりを守るシンプルな基本です。

よくある質問(FAQ)

Q. 鼻根(びこん)と鼻筋はどう違いますか?
鼻全体は「鼻根 → 鼻背(dorsum) → 鼻尖(tip)」の3パーツで構成されていて、鼻根はそのうち最上部、眉間と鼻の境目にある部分です。鼻筋全体を上げるのが隆鼻術で、鼻根だけを上げるのが本記事の鼻根施術。「鼻全体は普通なのに鼻根だけ低い」という方は、ピンポイントの鼻根施術で済むケースが多くなります。
Q. 自分の鼻根が低いかどうか、どう判断すればいいですか?
真横プロフィール写真で、眉間から鼻先まで定規をあててみてください。鼻根の凹みが2〜3mm以下で「ほぼ一直線」に見えるなら、鼻根が低い可能性が高いです。理想的な鼻根凹みは女性で5mm前後とされています。加えて、メガネがずり落ちる、メイクの陰影が出にくい、目と目が離れて見える、なども鼻根が低いサインです。
Q. ヒアルロン酸での鼻根は安全ですか?
適切に行えば0.0041%程度の重篤合併症率(Tamura 2025年の29万症例レトロスペクティブ研究)です。ただし、鼻根は滑車上動脈と眼動脈の吻合があるため、ヒアル注入による失明事例のなかでも鼻根を含む眉間・鼻領域での発生頻度が高いと報告されています(Beleznay 2019年)。安全に行うには、(1) カニューレ使用、(2) 骨膜直上の深層レイヤーへの注入、(3) 医師の解剖知識と経験、の3つが揃ったクリニックを選ぶことが重要です。
Q. プロテーゼと自家軟骨、どちらがいいですか?
どちらにもメリット・デメリットがあります。プロテーゼは手術が比較的シンプル、はっきりとした形の変化、料金が安め。デメリットは異物が体内に残る、5〜10年後に偏位リスク。自家軟骨は異物なし、触感が自然、長期安定性が高い。デメリットは耳介から軟骨採取が必要、料金がやや高め。「異物は嫌だ」なら自家軟骨、「明確な変化が欲しい」「料金重視」ならプロテーゼ、というシンプルな基準で選ぶのが分かりやすいです。
Q. Lシェイプ・プロテーゼは今でも使われていますか?
使われていますが、世界的には「皮膚穿孔リスクがあるため非推奨」という流れになっています。長期追跡の文献では、Lシェイプ・プロテーゼの皮膚穿孔リスクが報告されています。いまの主流は「Iシェイプ・プロテーゼ+鼻先は自家軟骨で支える」というハイブリッド方式。Lシェイプを今でも推奨してくる医師は、知識のキャッチアップが遅れている可能性もあるので、複数のクリニックでセカンドオピニオンを取っておくと安心です。
Q. メガネがずり落ちなくなりますか?
鼻根の高さが3〜5mm改善すると、メガネが安定しやすくなる方が多いです。鼻根が低いとメガネの鼻パッドが「乗る場所」がなく、頬骨で支える形になります。鼻根施術後は鼻パッドが鼻根に乗るようになり、フレームが傾いたり、痕がついたり、滑り落ちたりすることが少なくなる傾向があります。「美容のため」より「メガネ生活が楽になるため」という実用的な動機で鼻根施術を受ける方も、近年は増えています。
Q. 5年で見たコストはどの方法が一番安いですか?
3〜5年継続する見込みなら、自家軟骨グラフト(1回30万~60万円、長期維持)かプロテーゼ(1回30万~70万円、長期維持)のほうが、ヒアル毎年継続(5年累計15万~40万円)より結果的にトータルコストが近く、6年目以降は長期効果のある術式のほうが安くなる計算です。「とりあえず1〜2年でやめるかも」ならヒアル、「ずっと続けたい」なら長期効果のある術式、という基準で考えると分かりやすくなります。
Q. 男性でも鼻根施術は受けられますか?
受けられます。男性の場合、鼻根の高さは女性より少し控えめが理想的とされ、一般的な美容医療の文献では、女性で4〜5mm、男性で3〜4mmの増高が自然な仕上がりとされています。男性向けの鼻根施術は、過剰な高さを避け、ナチュラルな印象に整えるのがポイント。男性の美容医療全般は男性の糸リフトのページもあわせてご覧ください。
Q. 30代以降でも鼻根施術は効果ありますか?
あります。鼻根の高さは加齢ではあまり変化しないため、30代・40代・50代どの年代でも同じように効果が期待できます。むしろ加齢で皮膚の弾力が落ちると、鼻根が「上がっていない印象」が強くなるので、年齢を重ねた方ほど鼻根施術での変化を感じやすい傾向があります。
Q. ヒアルから始めて、後でプロテーゼに切り替えできますか?
できます。ヒアルを溶解剤(ヒアロニダーゼ)で溶かしてから、3〜6か月の組織安定期間を置いて、プロテーゼまたは自家軟骨グラフトを入れるのが一般的な流れ。ヒアルで「自分にとって鼻根の高さがいくつ良いか」を試したあとに、長期効果のある術式に切り替えるという段階的アプローチも、後悔リスクを下げる賢い選び方の一つです。
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参考文献(PubMed 収載論文)

  1. Suh MK. “Cosmetic Augmentation Rhinoplasty for East Asians.” Facial Plast Surg Clin North Am. 2021;29(4):589-609. PMID 34579840
  2. Tamura T, Tamura T, Okumura K, Funakoshi Y, Teranishi H. “Serious Complications of Hyaluronic Acid Fillers - A Retrospective Study of 290,307 Cases.” Ann Plast Surg. 2025;94(6):630-633. PMID 40358958
  3. Beleznay K, Carruthers JDA, Humphrey S, Carruthers A, Jones D. “Update on Avoiding and Treating Blindness From Fillers: A Recent Review of the World Literature.” Aesthet Surg J. 2019;39(6):662-674. PMID 30805636
  4. Park P, Jin HR. “Diced Cartilage in Fascia for Major Nasal Dorsal Augmentation in Asians: A Review of 15 Consecutive Cases.” Aesthetic Plast Surg. 2016;40(6):832-839. PMID 27752742

本記事は上記の学術文献をもとに作成しており、医療情報の正確性を担保するため、すべて PubMed(米国国立医学図書館 NLM 運営の学術論文データベース)収載論文を出典としています。

鼻整形 ガイド (20 / 23)

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